スマートフォンユーザーは、実はPCサイトを見るのが嫌ではない!?
たにぐち氏によれば、スマートフォンユーザーはPC サイトをスマートフォンで閲覧することにそれほどストレスを感じていないのだという。
「ユーザーにとっては当然のことかもしれませんが、ピンチイン/ピンチアウトしながらPC サイトをスマートフォンで見ることは、それほど億劫ではありません。スマートフォン対応でピンチイン/ピンチアウトをしないことを前提でUIを設計するのが一般的ですが、無理やりスマートフォン対応したことがユーザーにとっての正解とは限らないのです。つまり、現状のサイトでもスマフォで閲覧できることが苦でなければ問題ない場合もあるんです」
スマートフォン対応をする場合に必ず、サイト全体を対応しないでもよい考え⽅方もある。アップルのサイトは良良い例例だ。「有名な話ですが、アップルのサイトはスマートフォンへの全対応をしていません。“Mac”カテゴリページの上部にある、Mac、アプリケーション、アクセサリーを選ぶ部分のみ、利利便便性を考えスマートフォン特有のジェスチャーに対応しているんです」
スマートフォン対応を含め、モバイルサイトの制作では、デバイスやスクリーンサイズごとにページを振り分ける方法が一般的だが、サイトが本来持つ機能や情報が制限される場合がある。その結果、スマートフォンサイトを作っても意外と不人気であることも起こり得るわけだ。
ポイント5 スマートフォンユーザーの多くは、PCサイトをスマートフォンで閲覧している事実を考慮する
制作において、スマートフォンサイトのクリエイターが最も苦労することのひとつが動作テストなのだという。iPhoneは、OSのバージョンこそ違えど1つの機種と考えることができるが、Androidは機種が多種多様。「もはやAndroidと一括りにはできませんね」とたにぐち氏。
「iPhoneが出たばかりの頃は、1つの規格なので動作テストも工数が少なかったんですね。ただ、今やAndroid端末は多種多様になり環境が変わってきています。まずAndroid OSのバージョンで、1.x系統・2.x系統の動作が全然違いますし、画面のサイズなど国内外の機種でも動作が違います」
また、同じサイトでもiPhoneでは実装できるものがAndroidで実装が難しい場合もある。例えば、Twitterのスマートフォンサイトが良い例だという。
「iPhoneで見た場合は、タイムライン画面で、画面全体を下にスライドして離すと、ツイートがリロードされるようになっています。でも、Androidではその機能は実装されていません。スマートフォンは動作のパターンも幾つかあるため、細かな設定の違いで動作検証を行う必要があるわけです」
では、たにぐち氏は動作テストを行う場合はどのようにしているのだろう?
「基本は、手持ちの主要Android端末での動作テストを行います。他の端末を希望する場合は、クライアントと相談して対象機種を決め、別途費用になりますが、検証テスト会社に動作チェックを委託したりします。リリース後は、ユーザーからクレームが来たら都度対応するようにします。しかし、Webサイトなので“環境を限定しない”という基本的な考え方がありますので、古いOSでも情報にアクセスできない、タップしても動かないというような場合は対処することになります」
このように、全てのAndroid端末への対応を前提としていない状況は、携帯サイトの時と似てきているのだと言う。
ポイント6 Android端末に対応する場合は、費用対効果・ターゲットユーザーの使用機種を考える