Webデザインをして理論を体系化し、発信するサイクル
彼女は早速、海外の文献を読みあさった。『リンダ・ワインマンWebワークショップ Webデザイン解析編』など、理論として体系化が進んでいたアメリカの書籍を中心に見聞を広めた。その信念は「とにかく網羅的に技法をチェックしていけば整理できると信じる」であったという。
時を同じくして、彼女はWeb関連のライターとしてもキャリアをスタートする。
「仕事を進めるうち “もしかしてコーディングができるだけで便利がられたりしてないかしら?” と危機感を持ち始めたんです。Webに載せるコンテンツをきちんと作れる立場にならないと、この先HTMLが無くなったときに困るだろうな、と。それで、文字をきちんと書こうと決意して言葉を扱う世界へ進みました。その後、自分なりのWebデザインの理論をまとめたものが書籍化されたんです」
『ウェブデザインの教科書』『ウェブデザイン事典〈02‐03〉』(共に日経BP社)という2冊の書籍こそ、矢野さんの原点である。当時、多くのWebデザイナーの入門書として愛読されたのは言うまでもない。