“あの頃は若かった”って言葉で、自分の魂のスイッチ、オフにしてないですか?
須田氏はヤマハに入社し、月額630円で歌い放題のインターネットカラオケ『パソカラホーダイ』、ギターがWeb上のコード譜で練習できる『ネットで歌本』、視聴者参加型インターネットオーディションサイト『MusicFront(現在はサービス終了)』など、実に様々なサービスを生み出してゆく。
一見、ヤマハに進んでからも順風満帆の活躍だった。しかし、25歳の頃に挫折を味わったという。
「あるとき、今もサイト制作パートナーである会社の取締役に、“須田さんは、ヤマハに守られた場所で、過去のベンチャーでの自分の成功談ばかり話している。そんなの、誰も面白がってくれないし、いつか誰も見向きもしなくなりますよ”と言われたんです。頭の中が真っ白になるくらいにショックでしたね」
須田氏のベンチャー企業での成功は、金のネックレスにベンツを乗り回す生活を送れるほどだった。しかしその成功にすがるあまり、いつしか未来のことを話さなくなっていたという。この挫折から、須田氏は過去を話すことをやめたのだ。
「僕は小学校のとき、東京少年少女合唱隊にいて、歌で世界を回っていました。そして中学校のときは宇宙飛行士になると純粋に信じていた。きっとみんな心当たりがあると思います。これらのことが教えてくれるのは、思い出やノスタルジーではないのです。小学生の僕から見た今は、オペラ歌手だった。中学生から見れば宇宙飛行士。これらは自分の本当の、魂からの気持ちです。でも、いつからかそんな純粋な“魂のスイッチ”を切って、金儲けばかりしていた。もう一度、そのスイッチをオンにしよう。過去のことじゃなくて、未来の話をしよう、と強く思うようになりました。そうした気持ちは仕事にも現れ、クリエイター支援プロジェクトの『SoulSwitch』として形にもなりました」
人は未来を話す人に共感を覚え、感動するものだ。幼い頃見ていた夢は、純粋に未来に向けて発信される、自分の魂のメッセージに溢れていた。須田氏はその大切さに25歳で再び気づいたのだった。
次回は、現在、須田氏が取り組んでいる活動についてさらに迫ってみよう。乞うご期待!