3名にも聞きました!失敗しないWeb制作の“技”を教えてください!
増井 Webの仕事に就いてからずっと言っているのは、Webは完成しないものということです。完成しないからこそ、区切りがないプロジェクトマネジメントになるんですね。私はいつもこの図を使って説明しているんですが、ここにある7つのどこかを達成すること、そして耐久性のある副産物を残すことが大事。ずっと使い続けることができているのでよいフレームワークだと思っています。
増井 Webって技術の進化や生活者の変化によって変わり続けるものなので、副産物が残せれば、プロジェクトにも“やった感”が出るし、携わった人すべてにとって資産にもなるので、必ず次の仕事に生かすことができるんです。Web制作のプロジェクトを瞬間芸にしない、これに尽きます。
みどりかわ 今までWebディレクションをやってきて、スムーズにいくなとか、楽しいなとかはあったけれど、果たしてそれが成功だったかはわかりません。成功って、人によって曖昧だし、夢物語で全く現実路線じゃないんだけど、失敗って、リアルだし会社が潰れることにもなりかねない。だからやっぱり、失敗しないということが一番大事なんですね。
そのために私が心がけていることは、プロジェクトを一塊としてやっつけていては、いつまでたっても成長しないので、何でもきちんと“何で組み立てられているのか”というところを要素分解すること。最初は精度が低くても、場数を踏んでどんどん経験を積んでいくことで、リスクが頭に浮かんでくるようになって、プロアクティブ(先読みして取り組むという意味)に仕事を進めるきっかけとなります。あとは、コミットメントと熱意ですね。仕事のスキルを上達させたり、スピードを上げたりするために必要だと確信します。
次に、この仕事を続ける上で欠かせないのが、趣味でも何でも良いから、なるべく継続した何かを好きでいること。心が折れそうな時の支えになってくれるのが、そういうものなのかなって。図にある主従関係っていうのは、目的と手段が逆転しないよう、見極める冷静さは大事だよね、ということです。
滝澤 ひとことで言うと、コミュニケーション。コミュニケーションと言っても、飲みに行くとか、相手のことを考えるとかじゃなくて、コミュニケーションのフォーマットをあらかじめ決めておくこと。誰と話をすれば良いか責任範囲を決めておく、そういった土台を作ることです。その土台があるかれこそメンバーが動きやすい、それが一番大きな役割かなと。メンバーが多くなればなるほどコミットを避ける人が出て来るので、モチベーションや熱意を持ってもらって、いかにコミットしてもらうかというところでコミュニケーションが効いてくると思いますね。
増井 そうですね。規模にもよりますが、見える化するためにコミュニケーションのフレームワークを作るというのはすごく大事ですね。あとはタスク毎に正しく権限委譲すること。全部ディレクターが最終責任を持ってしまうのではなく、レベル感に合わせて権限委譲した上で、バックアップしてあげることが必要だと思います。
座談会で語られたことは、Web制作プロジェクトを進める上で、判断基準や行動指針となる、シンプルなものばかり。ここで書いたことを実践し、それをきっかけに、プロジェクトをよりうまく進める方法を編み出してみてください。
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