【OpenCU烏丸】THINK-TASTE-ACTION! 食×クリエイティブで考える島の未来「島T計画」プレイベントレポート

THINK-TASTE-ACTION! 食×クリエイティブで考える島の未来レポート

06.Dec.2012

11/27、京都烏丸に小豆島から土鍋、素麺、醤油がやってきた!OpenCU烏丸では、「食」体験を通じて地域(小豆島)が抱える課題に対して、クリエイターがどう向き合うかを考えるイベント「THINK-TASTE-ACTJION! 食×クリエイティブで考える島の未来」を開催。ゲストに芸術家 椿昇さん、小豆島プロデューサー 真鍋邦大さん、ロフトワーク代表 諏訪光洋が登場しました。

2013年春~秋にかけて、瀬戸内の島々を舞台に、世界中からアーティストと90万人のアートファンが集まるビッグイベント「瀬戸内国際芸術祭2013」が開催されます。この機会に、椿さん率いるクリエイターチームと島の地域おこしに取り組む人々がタッグを組み、クリエイティブなアプローチによって「持続可能な」地域活性に取り組んでいます。

イベントには、イラストレーターやカメラマン、Web制作に関わる人や庭師など様々な職種の人が参加。小豆島のケーススタディを通じて、それぞれの立場から「地域」づくりにどのようにコミットしていけるかを真剣に考える、熱いイベントになりました。

オープンクリエイションプロジェクト「島T計画」プレイベントとして開催

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まずはじめに、司会のロフトワーク岩崎が登場。クリエイターポータルサイトloftwork.comの紹介と、その中で行われているオープンクリエイションプロジェクトについて紹介しました。今回のイベント開催のきっかけとなったプロジェクト「島T計画」もまた、オープンクリエイションによる取り組みのひとつ。 小豆島の魅力を伝えるTシャツデザインと、Tシャツによって島の人々と島のファンをつなげるアイデアを広く募集することで、地域のために頑張る人々の活動を後押しします。

◆11/15(Thu)〜12/24(Mon) 小豆島オープンクリエイションプロジェクト「 島T計画

 

まるで大喜利? 面白くてちょっとだけ難しい「カタルタ」で自己紹介

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まずは、参加者全員で「カタルタ」というアイスブレークツールを使った自己紹介タイム。一見普通のトランプですが、それぞれのカードに「とはいえ」「しかし」「そもそも」「やっぱり」…などといった接続詞が書かれています。参加者はランダムに渡された3枚のカードを一枚ずつめくり、そこに書かれた接続詞をうまく使いながら、即興で自己紹介をしなければなりません。(カタルタとその使い方について、詳しくは「一語一会」のサイトをご覧ください)

思いもよらない接続詞を引き当てたことで思わず本音がポロリと出てしまった人もいれば、まるで大喜利のように美しくオチが決まり、会場から大喝采を受ける人も! いつもと違った自己紹介に会場は大いに沸きました。

 

誰もが夢見た「未来の学校」を小豆島につくる!

DSC03198いよいよ、小豆島で来年行われるプロジェクトについての紹介です。

まず、ロフトワーク代表・諏訪が、芸術祭期間中に小豆島に開講する「未来の学校」プロジェクトを紹介。このプロジェクトでは、「こんな学校があったらいいのに」「あんな先生に学びたかった」「今なら受けたい授業がある!」誰もが一度は考えたことがある理想の“学び”の場を期間限定で実現します。

「未来の学校」で教壇に立つのは、MITメディアラボ所長の伊藤穰一氏や世界で最先端の技術を研究している学生たちなど。「世界」と「ワクワク」をテーマに、これからの私たちに本当に必要な授業と本当に面白い先生だけを集めた学校をつくる、という諏訪の言葉に、参加者のみなさんは興味津々の様子でした。


小豆島を東京よりも面白い場所に―小豆島のアートプロジェクトを徹底紹介!

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次に、世界的に活躍する芸術家 椿昇さんが登場。『瀬戸内国際芸術祭2013』において、自らが手がける小豆島のアートプログラムについて紹介しました。

今回のプロジェクトにおいて最も大事にしているのは、「サステナビリティ(持続可能性)」。つまり、大きなアート作品で島を一過性の観光地にするのではなく、島のリピーター(関係人口)を増やさなければなりません。 そこで、椿さんは世界で活躍しているデザイナー・アーティスト・建築家を巻き込んで、芸術祭終了後も地域活性に役立つコンテンツを「小さく」「たくさん」島中に仕掛けるというアプローチをとりました。

たとえば、「未来の学校」では、世界で活躍する研究者・学生などを招致。地域に新しい産業を発想する「種」を植えます。また、島の魅力そのものを体感できるプログラムとして、ロールプレイングゲームのように、おもしろい島の住人に会って話が聴けるiPhoneアプリや、小豆島八十八か所をつなぐコンテンポラリーアートなども制作中とのこと。さらに、農協会館を活かしたデザイン・レジデンスや、「300万円の住宅」(災害で家が破壊されても再建のリスクが低い、新しい形の住宅)をつくる実験など、人々が島で生きることの可能性を提示するプログラムも用意しています。

プロジェクトの目標は「小豆島を東京よりも面白い場所にすること」だと、椿さんは力強く語ります。
「移住者を増やすために、最高の環境を整える必要があります。今回、島に高速無線LANも完備したので、どこでも仕事ができますよ。企業が社員に『ちょっと島でのんびりしてこい』なんて言って、島に滞在させることもできる。アートや建築の役割は表層部分で、人々が島に訪れるきっかけをつくることなんです」(椿さん)

そして、ビッグなコラボレーションとして北野武さんとヤノベケンジさんが、島の入り口である坂手港に作品を創るそう!  他にも、ここでは紹介しきれないほどたくさんのユニークなアートプログラムが用意されています。椿さんのエネルギッシュなトークに、会場の興奮は最高潮に。

 

「実は、地方って豊かなんです」―金融業界から地域おこしへ、大胆な転身

DSC03225続いて、小豆島の地域おこし協力隊としても活躍している株式会社459の真鍋さんが、小豆島の概要について改めて紹介。主要産業はオリーブ、醤油、佃煮、そうめんと食品産業が豊かで、そうめんと醤油は400年の歴史があります。加工業が強い、という島は日本全国を探しても珍しいそうです。

もともとは外資系の金融会社に勤めていた真鍋さん。しかし、「モノサシは多様化している」と考え、地方にビジネスの可能性を感じて「地域おこし」を生業にする、という大胆な決断をしました。考えが変わったきっかけとして、地元で3週間ほど過ごす機会があり、その中で「地方の人の方が豊かに暮らしている」と強く感じたのだそう。

「都会にお金がたくさんあるのは、不快さとのトレードオフだと思っています」と、真鍋さんは語ります。たとえば、音。東京の街中はヘッドフォンをつけなければならないほどストレスフルな環境ですが、地方では鳥のさえずりや木々のざわめきなど、豊かな音にあふれているので、ヘッドフォンは要らないそうです。さらに、地方に要れば食べ物は近所の人からたくさんもらえます。真鍋さんは、多くの人にこの地方の豊かさに気づいてもらいたい、と考えています。

「一週間たってみて、お腹はいっぱいなのにお金が全然減っていない時だってあるんです。これもまた、地方の豊かさのひとつの象徴なんじゃないでしょうか」(真鍋さん)

地方が豊かである―その意外な発想に、参加者のみなさんも驚きを隠せない様子。三者三様の刺激的なトークセッションをへて、いよいよ今度は小豆島を「味覚」で体験します!

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参加者のみなさんには、トークを聴きながら各自「いいと思ったこと」「スピーカーに訊いてみたいこと」を付箋に認めてもらいました。こうして一覧してみると、みんながどのポイントに関心を持ち、疑問を感じたのか…新しい気付きが得られますね。


みんなでひとつの鍋をつついて…絶品・小豆島の素麺をいただきます

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今すぐ島に行くことはできなくても、「食」を通じて小豆島を感じてもらいたい…ということで、その場にいる全員で真砂喜之助製麺所さんの手延べ素麺を、小豆島の木桶醤油と京都のとれたて卵、九条ネギでいただきました!!真砂の素麺は、一般的な素麺よりも風味が豊かでコシが強いので、温かい麺でも美味しく食べられるのが特徴。製造工程で胡麻油を使用し、島の綺麗な空気の中で丁寧に天日干しをするなどの手間暇をかけて作っています。真砂のファンはひそかに多く、ロフトワーク諏訪もその一人。あまりのおいしさに、一度に4~5箱も素麺を注文したことも!

同じ鍋をつつくことで、その場の空気も和やかに。いつの間にか、椿さん、真鍋さん、諏訪も参加者と混ざってフリートーク状態で、参加者からの質問にも、熱心に答えていました。

参加者には、美味しい素麺を食べてゲスト3人の小豆島トークを聞き「いいなと思ったこと」「聞いてみたいこと」を付箋に書いてもらいながらブレスト大会に入りました。付箋で一覧化したことで、自分以外の参加者の意見を知る機会になり、参加者同士のコミュニケーションも生まれ会場は和やかな雰囲気になっていました。

今度は参加者が宣言!「私○○は小豆島の××を活かして△△します」

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小豆島の味覚を楽しんだ後、参加者のみなさん自身で具体的なアクションを考えます。ひとりひとり、「私○○は小豆島の××を活かして△△します!」の宣言シートを記入し、「小豆島と自分はどうかかわれるか」をアウトプットしました。

「小豆島の魅力を伝える漫画を描きます」
「小豆島に関するまとめブログ書きます」
「島T計画に応募します」
「小豆島に行って素麺を食べます」

…などなど、各々自分の出来る事を真剣に考えた発表は、どれも聞いているだけでワクワクするものばかり!

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イベントの最後に、椿さんから参加者のみなさんへ「これから何か行動を起こすのであれば、良い意味での軽さが大事」とアドバイス。たとえば、時間をかけて企画書を練るのではなく、ダーティプロトタイピング(紙などで造った荒いプロトタイピング)のように素早くアイデアを形にし、情熱をもって人にそれを伝えることが求められていると語り、イベントを締めくくりました。

3人のゲストからの前向きなエネルギーに触発され、新しいアクションを宣言した24人の参加者のみなさん。それぞれ、これから小豆島とどんな「縁」によってつながっていくのでしょうか? 今後の展開に期待です!

 

*早速実行された、参加者のみなさんのアクションを紹介します!

・「インフォバーン京都ブログ 〜見習いウェブ小僧がお届けします。」
瀬戸内国際芸術祭2013までにチェックすべき、小豆島の魅力を伝えるWeb、7選

・「島T計画」 参加者のしろうべえさんが応募してくれました!
作品応募

 

○USTREAM

Video streaming by Ustream

○Flickr

○Togetter

イベント概要

開催日 : 2012年11月27日(火) 19:30 – 22:00 (19:00開場)
場所  : COCON 烏丸4F ロフトワーク烏丸
参加定員: 30人
対象  : デザイナー、イラストレーター、アーティスト、制作・イベント企画にかかわる方など
出演者 : 椿昇(芸術家)、真鍋邦大(株式会社459)、諏訪光洋(ロフトワーク)
主催  : 株式会社459 ロフトワーク烏丸
参加費 : 1,000円(飲み放題・食べ放題)

 

 

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