想い描くイベントを実現するために。「イベントデザインワークショップ入門powered by Peatix」レポート

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21.Jul.2014

2014年7月5日、OpenCU「イベントデザインワークショップ入門powered by Peatix」(#EDW_kyoto)がロフトワーク烏丸にて開催されました。

“みなさんはイベントを主催したことはありますか?
「よかった」と思えるイベントに参加したことはありますか?
誰もがイベント主催者になれる時代。今改めて、イベントづくりで大切なことを確認します。あなたのイベントづくりの参考にご活用ください。(さすらいライター 水口幹之)”

 

今回のゲストは、つなぐ専門家、中島明さん。(@akiranakajima
イベントやコミュニティのプロデュースを通して、人と人の“関係”を構築していく仕事に携わっています。これまで数百本のイベントをプロデュースし、日本初のイベント主催者のための祭典「Event Festival Tokyo 2013」や、「未来を変えるデザイン展」トークイベント、東日本大震災チャリティセミナー×100本プロジェクト「HOPE100」などをプロデュースしています。

イベントの内容をご紹介していきます。
(中島さんのご好意により、当日のスライドが公開されています。)

 

イベントデザインにおいて忘れてはならないこと
イベントを企画するときに、何よりも先に確認したい2点を紹介します。

(1)会場にどんな人に座ってほしいのか、イメージする

誰が会場の席に座って欲しいのか。具体的に座っている姿をイメージしましょう。できるだけ具体的に。あなたの知人友人をイメージするのもひとつです。

(2)イベントが終わった後、どんな風に会場の出口をくぐってほしいか、イメージしてする

あなた自身の体験を振り返ってみましょう。もしイベントに参加して、何か気づきや発見があったらいいですよね。参加者の方になにを持って帰って、どんな気持ちで帰ってほしいか。イベントを通じ(1)でイメージした人が、どう出口の扉をくぐるのか、イメージしてみましょう。

 

イベントづくりのステップ

中島さんによるイベント作りの5つのステップがこちら。これに従ってイベントの作り方を考えてみましょう。

 

【想い】を練る

企画の作り方に困っていませんか? イベントづくりで一番大切なのは、あなたの「想い」を企画に込めること。コンテンツづくりも、人集めも、全ては「想い」からスタートします。想いがあればしっかり固まっていれば、細部に気を遣えるし、あなたのビジョンに周りも共感してくれるはず。
イベントを企画する段階では、あなたの想いをおもいっきり詰め込みましょう。

 

イベントづくりにおける三方よし

想いを練るに当たって、下記のような考え方で検証をしてみましょう。
近江商人の「三方よし」はビジネスの基本的な考え方として時折紹介されます。「売り手よし、買い手よし、世間よし」これを、イベントデザインにも当てはめてみましょう。中島さんが、イベント用にアレンジした「イベント三方よし」が参考になります。

1)参加者満足
2)出演者満足
3)運営者満足

すなわち、あなたの企画したい「想い」は

  • 独り善がりになっていませんか?
  • 無理をしていませんか?
  • 本当に、あなたの人生を(ある一定時間であろうと)捧げる必要があるものですか?

を考えることが必要ということになります。

みんなが満足できるイベントはきっと充実したものになるし、それだけ続けることもしやすいでしょう。

 

【つくる】「Turning (チューニング)」参加者、出演者、運営者の満足度を高めるために

ギターを調弦するといい音を出してくれます。イベントでも同様。企画の「想い」を心地よい形にするために調整が必要。「つくるときは空気を読まず、届けるときには空気をよむ」のが極意。イベントにおける「Turning」は10のポイントに。あなたの主催したイベントを振り返ってみてください。

1)企画を練る 伝えたい内容や世界観と呼びたい相手・集めたい規模

企画の「想い」を伝えたい相手はどんな人か、どれくらいの数が「思いが伝わるか」考えます。

2)打ち合わせ

出演者と運営者

あなたの伝えたい内容と出演者の話したい内容を事前にすり合わせましょう。
話し慣れているスピーカーほど、内容にズレがないか、注意が必要です。

運営者とスタッフ

このイベントを通して何を実現したいのか、そのために何をすべきか、スタッフと打ち合わせしましょう。急なトラブルなどが発生しても、イベントの趣旨、目的を理解したスタッフが適材適所に配置されていれば、運営マニュアルなども、簡素化しても特別悪くはならずに収まるといいます。

3)告知文を書く1 参加者とコンテンツ・出演者

参加者はある程度期待値を上げないと来てくれません。でも内容が期待値にそぐわないと、お客さんの満足度は下がってしまいます。期待値と内容のバランスはとても大切です。

4)告知文を書く2 来て欲しい人と来てくれる人

主催者の想定しているお客さんと、実際に来る方はずれていませんか?多くの参加者に来てもらうのではなく、意図にあった参加者に届くように意識します。

5)会場を選ぶ 内容とそれにあった会場

会場の雰囲気は参加者に影響します。明るいテーマに暗い会場を選んだり、最新技術の話を、旧来型の会場で行ったり。会場までの導線も忘れずチェック。内容にあった会場を選びましょう。

6)BGMを選ぶ 内容とそれにあった音楽

BGMも参加者の気持ちを落ち着けたり、ワクワクさせたりします。どのタイミングでどんな音楽をかけるか、確認します。また歌詞のある曲は、参加者に影響を与えるので要注意。

7)座席の配置

会場の一体感

会場を見るときには中心線がどこかを意識してみましょう。スクリーン、座席、スピーカーの立ち位置など、会場の中心線を想定して、バランスのよい配置を決めていきます。

悪い席をなくす

会場の都合上どうしてもスピーカーが見づらい、スクリーンが見えないなど、不都合な席は存在するもの。「最悪の席」に実際に座って、どう見えるか確認し、当日はその席にも届くよう配慮します。

8)イベントの流れ プロジェクトの目的とイベントの目的

1回のイベントにプロジェクトの目的全てを盛り込むのは困難です。プロジェクト全体の目的の中でイベントをどう位置づけるかを考えます。

9)反応 イベント実施の前後で

イベントがどのような場だったか、イメージと実際の場で何が違ったかを確認します。アンケートを取ったり、参加者の方に直接聞いてみたりするのもひとつです。
ポイントは、本当に来て欲しかった人の声を拾えているか。アンケートの回収率よりも、本当にターゲットだったユーザーの声を拾うよう気をつけましょう。

10)本物を見る 現実と理想

他のイベントに参加したり、話題のイベントに参加したり、その会場で自分だったらどうするか、常に意識して参加すると見方も変わってきます。

 

【伝える・広める】「人はコピペの文章で口説けない」

イベントの集客がうまくいかない、という方も多くいらっしゃるかと思います。そんな時、中島さんは「想い」に立ち返ってほしいと言います。ラブレターを書くように。本当にその人を誘いたいなら、その人に伝わるように書くと思います。イベントに来てもらうというのも同じこと。Facebookの「イベント招待」やTwitterでつぶやくだけでなく、電話をしたり、できれば会いにいったり。万人向けに書いたコピペの文章で、人を口説けるはずがありません。大変かもしれませんが、あなたの「想い」を伝えるために、あらゆる努力を惜しまないことが大切です。

今回のイベントの参加者はイベント主催者。シートにそれぞれのイベントに対する想いを詰め込んで、話の内容を確認していきます。

中島さんのイベントにかける想い

人の間に立ち、つないだり、あと一息という企画をサポートしたりすることが好きだという。キーワードは高杉晋作の「おもしろき、こともなき世を、おもしろく」。世の中のイベントがもっと面白くなったら、世の中はどれほど面白くなるだろう。今回のイベントを通して、また面白いイベントができてくれたら、とのこと。

最後に中島さんからみなさんへ。

「あなたは誰のために、どんなイベントを企画しますか?」
このイベント、レポートが次のイベントづくりの参考になることを願います。

編集後記
私(水口)はイベントサポートをする機会が多いのですが、自身のイベントを振り返ってどうだったか、思い浮かべながら、参加しました。今回、会場設営からお手伝いしました。中島さんから机の位置をミリ単位で修正する指示がありました。また今回の主催者、鈴木伸也さんが山鉾のイラストがついた名札を用意。この心配りに中島さんも感動。それらも全て参加者への心遣い。見習うことばかりでした。私自身も今後イベントをお手伝いする際には、中島さんだったらどうするか、を想像しながら場をつくりたいと思います。

ゲスト講師

中島明

つなぐ専門家・コミュニティ&イベントプロデューサー・Event Festival Tokyo 2013 総合プロデューサー

1976年生まれ。千葉県出身。
場づくり・関係構築を専門とし、数多くのコミュニティや生活者ネットワークの構築・運営をしてきた他500本を越えるセミナー・イベントのプロデュースに関わる。
ビジネスセミナーや朝活イベント、各種記念パーティー、音楽・スポーツイベントなど、ジャンルや規模を問わず参加型・共感型・共創型の要素を取り入れたイベントの企画・運営を経験してきた実績を持つ。
イベント主催者向けワークショップの監修・講師なども務める傍ら東日本大震災チャリティーセミナーPJT「HOPE100」WorldShiftForum2011、助けあいジャパンチャリティイベントなどソーシャルグッドなイベントの経験も数多い。

執筆者

水口幹之

フリーライター・インタビュアー・上京ふれあいネット「カミング」編集スタッフ

1992年東京生まれ。
立命館大学在学時よりライターとして、インタビューを主軸に活動。
「人の想いを伝えるためのライティング」をテーマに、インタビュー記事の作成を主軸に活動。
京都、北陸をはじめ、地域発プロジェクトの情報発信。
イベント関連では、企画運営に携わり、Twitter実況、レポート作成、当日の会場運営を行う。
2014年から京都・上京区の情報発信サイト「上京ふれあいネット~カミング~」の編集スタッフ。

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