ゲーム制作で一番面白いのが草案作り=ペライチ企画書!?OpenCU烏丸イベントレポート

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03.Oct.2014

2014年9月26日、loftwork烏丸にて「ゲーム作りから学ぶ、ペライチ企画書」が開催されました。
山椒Studios Inc.の永尾純一さんを講師にお迎えし、ゲーム作りの秘訣を学んだワークショップの内容をレポートします!

イベントページ:http://opencu.com/events/game-planning/

ゲーム制作で一番面白いのが『草案作り=ペライチ企画書』

老舗ゲームメーカー「カプコン」での企画、ディレクター経験を十年少々経て、今年春に独立した永尾さん。
そんな彼がイベント冒頭に紹介したのが、「ゲーム制作のおもしろ度グラフ(永尾調べ)」

「一つのゲームを作るのに1~3年はかかり、その中で面白さは変動する。僕は飽きっぽいのでその中でも一番テンション高くて面白いのが草案作り、つまり『ペライチ企画書』なんです。参加者の皆さんには、その楽しい部分を味わっていただければと思います。」

「ペライチ企画書」はこれで書ける!~書くために知るべきPoint~

Point1:「ゲーム」とは「ごっこ遊び」である

最初に「ごっこ遊び」という言葉を聞いたときに連想するのは、「ままごと」や「お花屋さんごっこ」、「お医者さんごっこ」…など。
そんな「○○ごっこ」を分解すると、「○○というテーマ」×「ごっこ遊びのルール」という要素で成り立っており、さらに言い換えると「世界観」×「ゲーム性」ということだと永尾さんは言います。

Point2:「ゲーム性」を理解する

次に「ゲーム性」の例をいくつか上げて、それがどのようなものなのかを紹介。

①リスクとリターン

競馬のような「ギャンブル的な面白さ」や「ゲームオーバーがあるからクリアが嬉しい」といったスリル部分。格闘ゲームを例にすると、かわされるリスクがあるけど当たるとダメージが大きい攻撃など、リスクとリターンが大きいがこれに当たります。

②アクションとリアクション

自分の操作に思った通りの心地よい反応が返ってくるコト。「ジャンプ」や「ダッシュ」といった動的な操作はもちろん、アドベンチャーゲームで選択肢を選んだ後にそれに沿ったストーリーが展開する、というのもこのポイントにあたります。

③ほどよい目標と報酬

ゲームは手軽にゴールの嬉しさを体験できるものなので、「目標達成とごほうび」で遊び続けてもらうのもテクニック。これは日常生活にも応用が出来、「良い子育て」のコツや仕事面にも応用できます。無茶な目標をたてられると無理だ!クソゲーだ!と思ってしまうので、ほどよくも挑戦意欲をかき立てるようなバランスが大切です。

Point3:「この瞬間が最高に面白い!」というゲームデザインのポイントを考える

「一番に表現したい面白さ」を考える。
例えば「ゾンビ」をテーマにしたなら、

———-

・恐ろしいゾンビから逃げるドキドキ感→迷走アドベンチャーゲーム
・ゾンビをバッタバタとなぎ倒したい→爽快アクションゲーム
・ゾンビの集団から立てこもりたい→篭城ディフェンスゲーム
・ゾンビを増殖させたい→変わり種ゾンビシミュレーターゲーム

———-

などなど。
このようにゲーム内容・ゲーム性は、「一番に表現したい面白さ」によって左右されます。

「カプコン」時代、採用書類として学生の履歴書やポートフォリオを見てきた永尾さん。
「このポイントが出来ている人は企画書の面白いポイントが伝わりやすいですし、熱意も受け取れるのでこいつ出来るな、って思っちゃいますね。」

まとめ:ペライチ企画書はこれで書ける!

3つのPointをまとめると、このようなシンプルな図に。
これをまとめたものがいわゆる「コンセプト」と呼ばれるものになります。
「ペライチ企画書」はこれだけで書ける上に、細かいことを考えなくていいので、とっても楽しいことだというのが分かります。

ちょっとブレイク~ここがスゴイよゲームデザイン!~

ワークに移る前に永尾さんオススメの「ゲームデザインがスゴイ!」ゲームを紹介していただきました。

逆転裁判」のここがスゴい!

例えば、「逆転裁判」では、一般的なアドベンチャーゲームにありがちな4択の選択肢ではなく、「証言の矛盾点×証拠品」という自由選択方式の新しい選択肢システムをとりいれており、そのシステムと裁判という設定がジャストフィットしている点がスゴイ!のです。

パンデミック」のここがスゴい!

ボードゲームではコンピューターによる処理がない分複雑な操作が難しいのですが、「パンデミック」ではエピデミック発生時に「使用済みのカードをシャッフルして山札に戻す」という簡単な操作だけで、ゲームの流れをガラリと変えて大ピンチを発生させてしまいます。たったそれだけの動作でプレイヤーの心を揺さぶりまくる、カードならではのゲームデザインがスゴイ!のです。

一番ここが面白い!~各々のアイデアをペライチ企画書に込めるワーク~

本日のワークショップは、個人でのワークが中心。
永尾さんの講義を聴き、各々自分が面白いと思うポイントを決め、ペライチ企画書を作成していきます。

 ↑今回用意したワークシート(クリックすると元の大きさになるのでお使いください!)

出来上がったペライチ企画書は、壁に貼り出し、全員が見れる状態に。
アイデア勝負の企画書、短時間で絵も盛り込み作りこまれた企画書、どの企画書も個性的で目が離せません!

講評会では、永尾さんとロフトワークが選んだ3つの企画書を講評させていただきました。

中でも一番好評だったのが、現役大学生の山田くんが考えた「つなげろ!青春の片思い!」という三角関係をテーマにしたパズルゲーム。

「クラス替えという本来わくわくする行事を、視点を変えて考えてみました!」と山田くん。
学生ならではのアイデアで青春時代を思い出して楽しめそうな企画に永尾さんも参加者も思わずニヤニヤが止まりませんでした。

限られた時間でのワーク、参加者の皆様おつかれさまでした!

終了後は、壁に貼られたペライチ企画書を肴にささやかな懇親会。
自分の企画の面白ポイントを交換する姿が印象的でした。

参加者の皆さんからは、
「他の参加者の企画書を見て、自分には無い視点をたくさん取り入れることが出来てよかった!」
「コンセプトの考え方が分かりやすくて、他のことに応用できそう」
「企画書を考えることは難しいことだと思っていましたが、とても楽しく考えることが出来ました」
など、明日からでもすぐに役立つかもしれない企画の秘訣を持ち帰ってもらうことができました!

今後もマンガやアニメなど様々なジャンルの講師をゲストにお呼びしシリーズ化を予定していますので、烏丸twitter(@lw_karasuma)で情報をゲットしてください!

ご参加いただいたみなさん、ありがとうございました!

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