
11月16日、東京・渋谷のロフトワークス8Fにて、「USTREAMビジネス活用術講座」が開催されました。
このセミナーは11月12日に、アスキー・メディア・ワークスより発売されたばかりの新刊『USTREAMビジネス応用ハンドブック』の出版記念も兼ねたイベント。
著者である私、米田智彦がモデレーターを務め、企画立案と監修を担当したヒマナイヌ代表・川井拓也氏、著者の1人である伊藤学氏、編集に参加した84ismの江口晋太朗氏が出席しました。

この本には、47都道府県別の事例をはじめ、企業、メディア、エンタメ、教育、医療、ギャンブル、ITなど、細かくジャンル分けされた200を超える中継事例を収められており、2010年の日本UST界を総括したような内容となっているのが大きな特徴です。

川井氏は「USTをビジネスで活用する人には何種類かプレイヤーがいる。自分で映像や音楽などのコンテンツを持っている人がライブオンデマンド的に使う場合。もう1人は自分たちが売りたいサービス、商品があり、それをライブメディアで売りたいと思っている人。三人目はこのライブメディアのブームに乗って中継の現場に関わることでビジネスをしようとしている人。
この1人目のパターンはコンテンツを持っていない普通の企業にはあまり関係ない。私たちが注目したのは、2つ目のパターン。自治体や中小企業などが当てはまり、これまでTVCMを打てなかったような組織。彼らが自分たちのビジネスを広げるのに参考になるような事例を集めている。中継するにヒントにしてほしい」とコメント。
またこの本の巻頭特集では、ユニークな中継を行っている企業の担当者へのインタビューを6事例ほど掲載しています。特に、花火大会の様子をバックにグラビアアイドルの川村ゆきえさんとバーチャルデートを行ったカミソリメーカー・貝印の中継は美しい花火や川村さんの肌のなめらかさが話題になりました。大掛かりなセットやTV中継なみの機材など、実際に中継ディレクターを担当した川井氏が内輪話を披露しながら、説明しました。

内閣府の「新しい公共円卓会議」を当時の鳩山首相の隣で中継した経験もある江口氏は「限られた予算やパフォーマンスの中でどうやって提案するか。それが新しいビジネスになる。そこにクリエイティビティが問われると思う。何を見せるか、目的をはっきりさせること。USTREAMは単なるツールなので、よりUSTが生きるご提案をすることが重要」と語りました。

共著者の伊藤氏は元々Webの専門家ですが、USTREAMに興味を持ち、機材などについて質問したいという思いから、そらのさんなどに声をかけ、「USTREAMER座談会」を企画した経緯を説明。さらに、ビジュアル系バンドのリハーサルの様子から中継した経験を話し、「コンサート本編以外のライブ中継はチケットを買えなかったファンや来場できなかったファンたちには非常にウケた」とコメントしました。

また、セミナー中盤には、本の中でインタビューとして掲載されている、株式会社デジタルステージ代表の平野友康氏がスペシャルゲストとして登場! 大きな拍手で迎えられました。
平野氏は今月行われた坂本龍一氏の北米ツアーに同行しコンサートをUST中継して話題になったことはご存知の方も多いはず。
ソフトウェアメーカーの社長である平野氏がUST中継を始めた理由は、自社の商品の情報発信ツールだったメルマガがあまりユーザーに響かなくなったことだったといいます。メルマガに代わるものを模索している時に平野氏が出会ったのがUSTでした。
平野氏「今はソーシャルメディアの夜明け。人々は家族や恋人よりもモニターに接する時間が多い。USTREAMは感動を共有するメディアなので、大切なのはストーリー。中継者と視聴者の接点が何かが重要。そして、企業でも個人でも、ソーシャルは誠実さがなければ参加できない」。
さらに、ユーザーとの密接度を“ラブ度”と定義し、「担当者が人任せにしないで自ら“痛み”を引き受けて配信を行っていくもの。環境は関係ないです。失敗しても自分でやった方がいい」と直前の楽屋で資料を作ったと言うにもかかわらず、圧倒的な話術と明快なコンセプトで、1人プレゼン状態! 「モーションダイ部」などの自身の中継の歴史や向谷実氏などとのコラボレートによる番組を解説していただきました。

そして、延べ20万人が視聴に参加した坂本龍一氏の北米ツアーの裏話も披露。ライブ以外にも元マイクロソフト株式会社社長・現慶應大学教授の古川亨氏のツイートに反応したことをきっかけに古川氏とともに旅した様子などを当時の写真を交えてお話いただきました。
平野氏は最後に「教授との4日間は奇跡的だった。舞台袖で感動して毎回涙してましたが、ソーシャルメディアはすぐに慣れて飽きてしまう傾向がある。でも、僕は坂本龍一さんのUSTは絶対に慣れさせない。皆さんが『お! そうくるのか?』という驚きと体験を追求していく。これからも期待していて下さい!」と締め括くりました。

セミナー後半では、川井氏は中継における効果測定のツールやタイムラインの追い方を説明。タイムラインプリンタを開発した永山純一氏を紹介した。また、江口氏は中継担当者の代表として、富士山の朝焼けや、東京の歌舞伎座の工事の様子の定点中継を行っているコバヤシノブヨシ氏もマイクを握りました。
セミナーの最後は、出演者がそれぞれコメント。
伊藤「USTは録画してほしい。それをブログに貼り付けるとその後、ブログを訪れた人が動画を観て感動することがあります 」
江口「視聴する側のことをいかに想像し考えて企画し、中継するか。平野さんはラブ度と言ったが、USTはホスピタリティが重要だと思う。」
米田「たとえ、企業としての中継であっても、やはり担当者がその人なりの個性をどう伝えるか?が重要。会社ではなく、会社の中の社員の「人間性」、これを上手く伝えることが、会社でUSTする場合でも、盛り上がっていくことにつながる 」
と、三者三様のUSTREAM導入へのアドバイスを述べました。
〆の言葉として川井氏は「USTはフィードバックメディア。我々は今回のセミナーに対する反響は、誹謗中傷を含めて全て見ます。こんなメディアはなかなかない。この価値を取り入れながら、ライブで番組を作っていてほしい」。
超満員の会場では、出演者と参加者の名刺交換が続きました。
UST元年となった2010年。来年もUSTREAMからどんなユニークな中継番組が生まれるのか、目が離せません!!

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