“ツイッター繁盛論”で話題を呼んだ 豚組・中村仁が仕掛ける「飲食店クチコミの再発明」 前編

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25.Jan.2012

コミュニケーション・ライフログとして食をとらえる『miil』の試み

中村氏は現在、飲食店経営以外の食との関わりとして、「食べること」をもっと楽しくする『miil』というiPhoneアプリをリリースし、現在28,000ダウンロードを突破している(2012年1月20日現在)。アプリを立ち上げると、すぐに美味しそうな料理写真が次から次にフローする。見ていて楽しい。久しぶりに食べることにワクワクしている自分に気づく。

 

miil撮影した画像(食べ物)にコメントを付けmillユーザー間で共有できる。写真加工機能、コメント機能、ジオロケーション機能に対応。さらにTwitter、Facebook別のソーシャルメディアへの共有もできる。気軽に食のログを記録していき、共有をきっかけにコミュニケーションが生まれる。(現在はiPhoneアプリのみ、Android版は開発中)

 

「昔は思い出に残したり、表現をしたりするために写真を使うことが多かったが、最近はコミュニケーションそのものになってきています。今、ソーシャルメディアに写真を投稿してメッセージの代わりにすることは日常的なことですよね。毎日、多くの人が自分の食べているものを投稿しています。その状況を見て、“食のライフログを作る”アプリがあったら便利だなと思ったのです」と、その着想を話す。

 

miilが可能にするのは料理写真のフォトシェアリングである。自分が食べるものを撮影でき、miilを使っているユーザー間ですぐにシェアし、FacebookやTwitterのウォールにも投稿できる。画像の調整機能も搭載されているので、料理の写真をよく撮る人はこのアプリをインストールしておけば、料理用カメラアプリとして使えて便利である。

「英語で“YOU ARE WHAT YOU EAT”と言います。自分がどういう人間かは、食べるものを見れば分かるということです。つまりmiilでは食からその人のライフスタイルも見えてくるんです。例えば、あまり親しくはない人でも、面白い食生活をしていたら親しみが沸くもの。ローマ風カルボナーラって何? すじコンあぶらかす入りのモダン焼きって何?と、料理は注意や共感を引き起こし、人と人をつなぐコミュニケーションツールになります。おまけに、自分のログを見れば、“こんなに肉食べてたのか!”といった気づきになるわけです。」

 

自分を振り返るツールであり、人とのコミュニケーションとしての食。まったく新しい食と人の繋がりがmiilで可能になるのである。

中村仁

1992年立教大学卒業後、松下電器産業株式会社(現パナソニック株式会社)入社、テレビ本部で営業企画などに従事。 1995年、広告代理店オグルヴィ・アンド・メイザー・ジャパン株式会社へ。1998年に同社を退社後、独立。フリーランスのマーケターとして仕事を手がけた後、2000年に西麻布に「居酒屋せいざん」を開店。株式会社グレイスを設立し、現在は港区を中心に「豚組」「壌・泡組」など、個性的な飲食店を5店舗運営中。 ソーシャル時代の新しい人と食の関係とコミュニケーションをテーマに、さまざまな活動を展開中。  著書『小さなお店のツイッター繁盛論 お客様との絆を生む140文字の力』

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吉澤瑠美

千葉大学卒業後、ロフトワークに入社。モバイルサイト向けのコンテンツ制作を幅広く手掛ける。2009年からはマーケティングdiv.に合流、保守サポート窓口を担当しながら、自社ソーシャルメディア運用やプロジェクトのソーシャルメディア戦略に関わる。おっとりしているようで細部を見逃さない、校正の刺客。

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