“ツイッター繁盛論”で話題を呼んだ 豚組・中村仁が仕掛ける「飲食店クチコミの再発明」 前編

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25.Jan.2012

店主体からお客様主体へ。miilでクチコミを再発明!

Twitterで店を大繁盛させたかと思えば、miilで「食をコミュニケーションツール」にしてみせる。中村氏が目指しているものは一体何なのだろう?

miilのこれからの姿はクチコミの再発明なんです。クチコミは飲食店にとっては生命線。でも、最近のネット上のクチコミはあまり健全ではないと思うのです。まだクチコミ=ネットではなかった頃は、知り合いから聞くリアルなクチコミだった。情報の伝達スピードは遅いけど、その分信頼のおける質の高い情報が流通していた。しかし、現在のクチコミは “星評価”に代表される、量としてのメリットに傾きすぎていますよね。質と量のバランスを取って、お客様と店の継続的ないい関係を作るためのクチコミの創造、それがmiilのこれからのミッションなんです

かつての店選びは、そこを紹介してくれる人への信頼感もきちんと指標として機能していた。しかし現在は、どんな人かも分からないクチコミの量を見て、行く店を場当たり的に決めてしまっている。この時代に、質と量、そのバランスはmiilによってどのようにもたらされるのだろう。

「店主体で見ているか、お客様主体で見ているかでクチコミの発想は変わります。miilは今までにない客主体のクチコミメディアなのです。まず、そもそも従来の販促は基本的には店主体の発想ですよね。雑誌での紹介記事など店のためにある販促です。クチコミサイトも、ユーザーがクチコミを書いているからお客様主体に見えるけど、結局データが店単位として扱われるため、発信としては店主体のアプローチになっている。そこで、miilではお客様つまり、ユーザーを出発点にしたんです」

従来のクチコミサイトでは、客がお店に紐づけられていたのに対して、miilは外食・家庭料理を問わない客主体の食のライフログであるため、ユーザーに食・店が紐づけられている。ユーザー同士は自分と趣味・嗜好の合う人と出会って、結果として店にたどり着く、ネットの利便によりたくさん出会うことができる。質と量のバランスに優れたクチコミなのだ。

さらに、店の側もユーザーとして参加することで、自分たちが本当に来て欲しい客に出会う機会もある。実に店と客の良い循環を生み出すことができる。

そもそも店と客、両方にとって良い関係になるクチコミの創造そのものだった。さらにクチコミは従来の文章によるレビューではなく、写真という見えるクチコミ、中村氏が言うところの“見るコミ”にあるのだ。

(後編へ続く)

 

中村仁氏と、社内ではTwitter、facebookなどソーシャルメディア運用を行い、 セミナーでのtwitter中継でもお馴染みロフトワークマーケティングDiv吉澤瑠美

中村仁

1992年立教大学卒業後、松下電器産業株式会社(現パナソニック株式会社)入社、テレビ本部で営業企画などに従事。 1995年、広告代理店オグルヴィ・アンド・メイザー・ジャパン株式会社へ。1998年に同社を退社後、独立。フリーランスのマーケターとして仕事を手がけた後、2000年に西麻布に「居酒屋せいざん」を開店。株式会社グレイスを設立し、現在は港区を中心に「豚組」「壌・泡組」など、個性的な飲食店を5店舗運営中。 ソーシャル時代の新しい人と食の関係とコミュニケーションをテーマに、さまざまな活動を展開中。  著書『小さなお店のツイッター繁盛論 お客様との絆を生む140文字の力』

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吉澤瑠美

千葉大学卒業後、ロフトワークに入社。モバイルサイト向けのコンテンツ制作を幅広く手掛ける。2009年からはマーケティングdiv.に合流、保守サポート窓口を担当しながら、自社ソーシャルメディア運用やプロジェクトのソーシャルメディア戦略に関わる。おっとりしているようで細部を見逃さない、校正の刺客。

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