最悪のアイデアから最高のアイデアを生み出す!共同デザイン思考ワークショップレポート

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23.Apr.2013

3/19(火)、OpenCU烏丸ではロフトワークのイノベーションメーカー棚橋弘季を講師に「共同デザインの面白さ」体感ワークショップを開催しました。

3月の衣類を全体テーマに設定しつつ、昼の部では「今日着て来たアウター」、夜の部では「季節の変わり目の服」と表現を変えてワークを実施。「デザイン思考」を体感できるワークショップの様子と、昼と夜のプロトタイプの意外な違いについてレポートしたいと思います。

Text:川村友希子(株式会社ロフトワーク/マーケティングDiv)


「Co-design」「Co-creation」はなぜ注目されている?

2013年にイノベーションメーカーとしてロフトワークに合流した棚橋は、デザイン思考を「新しいモノやコトを生み出すための手法」と定義しました。中でも、デザイナーとユーザーとで立場を分けず、社会にみとめられるものを一緒に作っていく「Co-design」「Co-creation」=共同デザインという手法に注目が集まっています。

昼の部

◆Co-design

多彩な利害関係者をデザイン過程に巻き込むこと
人が関わるサービスをデザインする、包括的な視点が必要
例)病院のリデザインを患者だけでなく、看護師など働く人も巻き込んで考える

◆Co-creation

みんなで未来を作り続けること
リリースしたサービスをどうやって成長させ続けるか
例)「地元の人たちが欲しい公園」を地元の人たちで相談してつくりあげる(KaBOOM!

 

グループワークを活かして、自分の常識から外に飛び出そう!

従来の社会はユーザーを消費者と捉え、企業や国が一方的にサービスを提供していました。しかし最近はユーザーを参加者と捉え、企業や国と一緒にサービスを作り出すことに喜びを見出す世界へと変わってきています。

アイデアを考えるとき、1人だとどうしても行き詰まってしまいます。それを打破するために、IDEOなど世界的なクリエイティブ会社ではグループワークを積極的に取り入れているそうです。今までの延長ではなく、今までにないものを作ろう、という気持ちで参加すると新しいモノを生み出しやすくなります。ポイントは他人の意見をちゃんと聞くこと。自分の意見と他人の意見が違えば違うほど、常識の外に飛び出すチャンスなのです!

 

最悪のアイデアを活かす!?デザイン思考ワークショップ

いよいよワークショップが始まりました。先ずは絵しりとりで参加者同士のアイスブレイク。

昼の部

A4の紙を4等分し、イラストを描いて参加者同士でしりとりをしながら回します。

POINT ★言葉で説明せず、何のイラストか自分で考えしりとりする

4枠が埋まったら、何のイラストか参加者同士で答え合わせをします。アイスブレイクを入れる事で、ワークショップの参加者がどんな人たちかお互いに分かり、場が一気に暖まります。

(1)相互インタビュー

二人一組になって、テーマへのこだわりや要望など具体的にヒアリングをします。

POINT★聞き手、話し手の役割を完全にわける
昼の部

▲(昼の部)「今日着て来たアウター」について相互インタビュー

夜の部

▲(夜の部)「季節の変わり目ファッション」について相互インタビュー終了。

円滑に進行するため、講師が話しはじめたら全員手をあげるのがルール。

(2)スケッチによるアイデアだし(個人ワーク)

相互インタビューが終わったら、 「最高のアイデア」=相手が欲しい!と喜ぶアイデアと、「最悪のアイデア」=相手がいらん!と思う非常識なアイデアを、それぞれA4の紙にイラストで描きます。

POINT★「最高のアイデア」と「最悪のアイデア」の両方を必ず考える

昼の部

▲(昼の部)相手のための「最悪のアイデア」イラスト。カッパ…?

(3)アイデア共有

実は「最高のアイデア」の役目はここで終わり。「最悪のアイデア」だけを参加者全員で共有します。1人ずつ発表し壁に張り出して、同じようなアイデアをグルーピングします。

POINT★恥ずかしがらずに発表する
昼の部

▲(昼の部)アウター裾の汚れが気になる人のための「最悪のアイデア」パズル型アウター。

着ているとボロボロと崩れるそう…
夜の部

▲(夜の部)季節の変わり目は服が貯まりがち、それを解決するサービス案が多く出ました。

一定期間で水に変わる、クローゼットが着なかった服を自動的に焼却するという激しいサービスまで!

(4)ダーティープロトタイピング作成(グループワーク)

グルーピングされたチームのメンバーで集まり、「最悪のアイデア」を活かす方法を考えます。「最悪のアイデア」が人に必要とされるようにブラッシュアップし、模造紙を使って簡素なプロトタイプを作ります。(ダーティープロトタイピング)

昼の部

▲棚橋さんが似ているアイデアをグルーピング、3〜4人のグループに別れプロトタイプ制作に入ります。

昼の部

▲(昼の部)空気を入れて拡大縮小できるアウターのプロトタイプ。

雨が降ればフードをも空気で膨らむので機能性も抜群。

夜の部

▲(夜の部)全員がプロトタイプを着用するチームも。何が生まれるか予測できない!

(5)発表

チームごとに出来たプロトタイプの特徴・機能を発表。
昼の部

▲(昼の部)赤ちゃん用アウター「ベビリンガル」。胸の液晶に泣いている理由が表示されます。

お母さんには嬉しいアウターです。
夜の部

▲(夜の部)服をデータ化しデジタルオシャレをするサービスのプロトタイプ。

全員のメガネについたセンサーで相手のデジタルオシャレを読み込むという未来の服が登場。
夜の部

▲(夜の部)唯一プロトタイプを作らなかったチームは

水に溶ける服が水不足の地域の生活を支えるようになる、というプロトタイプを迫真の演技で表現しました。

最悪なアイデアから生み出す!だから新しいモノが作れる。

このワークショップの最大の特徴は「最高のアイデア」と「最悪のアイデア」を考えたことにあります。「最高のアイデア」は自分では素晴らしい、と思っていても型にはまった無難なものになりがちでつまらないそう。面白い、新しいモノを作り出すには、実は「最悪のアイデア」を元にした方が効果的で、いかに他人の意見を取り入れながらブラッシュップできるかが重要なのです。これは日々の生活や業務に活かせそうな気付きでした。

また、今回は昼と夜で角度を変えてテーマを設定しました。結果、昼の部では様々や形状に特徴のあるアウターが3種類、夜の部では服の機能だけでなく、服の収納方法や管理サービスなどの、服を着る概念に囚われないアイデアも飛び出しました。ワークショップを行うときには求めるアウトプットに応じたテーマ設計も重要である、と主催者として実感しました。


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◎開催概要

【OpenCU烏丸】コ・クリエーションする未来 〜棚橋弘季「共同デザインの面白さ」体感ワークショップ〜in京都

開催日 :2013年3月19日(火)

昼の部 13:00 – 15:00 (12:30開場)

夜の部 19:00 – 21:00 (18:30開場)

場所  :ロフトワーク烏丸map
出演  棚橋弘季(株式会社ロフトワーク イノベーションメーカー)
参加費 :無料
定員  :それぞれ最大20名

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