実はECサイトはスマートフォンに向かない?
スマートフォンサイトは、画面の広さの制約とタッチパネル式の操作がある。そのため、PCサイトの情報をすべてスマートフォンサイトで表現できない場合もあるという。
「一般的にECサイトが挙げられると思います。基本的には情報が多いものはスマートフォンサイトに適しませんね。商品点数が多いために検索機能を充実させてサイト内の遷移やアクションを効率化したとしても、最終的に購入時に配送先住所等を記入するフォームがタッチパネルでは操作感があまりよくなかったりします。そこでユーザーが離脱することも考えられます。そのためiPhoneアプリにもなっているAmazonや楽天など、普段からPCで使用していて、アカウントもあり、たまにスマートフォンで使うというケースは別として、ECサイトをスマートフォン対応するのは、費用対効果が低いように思いますね」
とはいえ、実際にはECサイトのスマートフォン対応も案件として依頼はあるという。そういった場合、たにぐち氏はどういった対応をしているのだろう?
「まず前提として、商品の選択から決済までの全てをスマートフォンで行う必要性が無いとも言えるわけです。というのも、スマートフォンを使っている人は、PCを開くことが日常生活でそれほど面倒なことでは無い場合が多いです。結果的にそういう人たちがスマートフォンでECサイトを見ている状況というのは、リビングでPCを開くのが面倒だから見ている、というような状況です。よって、カートに入れるまではスマートフォンで、決済はPCで、とスマートフォンサイトで行う役割を切り分けてしまう選択肢もアリだと思います」
一見面倒かな、と思われがちだが、実際に自分が購入者になると、むしろ“住所入力、面倒だな。ここからPCでできないものか”と思ってしまうものだ。今後、HTML5などの技術を使いフォームも改良され、徐々にスマートフォンだけで決済などを行うユーザーも増えると予想されるが、現状ではスマートフォンのタッチパネルでの入力は別の手段も準備するのが無難だろう。
ポイント8 タッチパネルでの文字・数字入力は必要最小限に抑える
同様の考え方で、サイトの情報が多過ぎる場合、すべての情報をスマートフォン対応させるのはあまり賢いやり方ではない。画面が小さく、指でタップするスマートフォンは、多重階層や情報の多いサイトのブラウジングには向いていない。例えば、飲食店のクチコミサイトである「ぐるなび」は、豊富な特集記事の中から厳選したものをスマートフォンサイトのコンテンツとしている。最適な情報提供の方法を考えた“部分対応“の好例といえるだろう。
ポイント9 情報が多いサイトの場合は、スマートフォンで使いやすい一部の情報のみに特化して対応する