nanapiとサイゾーが自社メディアの設計思想や運用の現場を語った!10月25日開催イベントレポート

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02.Nov.2012


去る10月25日に「次世代型ネットメディアを考える ~nanapiとサイゾーが語るメディアの今と未来」がOpenCUにて開催されました。ネットメディアを取り巻く環境が刻一刻と変わっていく中で、今の最前線のネットメディアはどんな進化をしているのか。今回は「サイゾー」プロデューサーの川原崎晋裕氏、話題のハウツーWebサービス「nanapi」を運営する古川健介氏を招き、それぞれのメディアコンセプトをプレゼンテーション。そして、参加者とともに「ネットメディアの未来」を考えました。

TEXT:森オウジ

トークセッション中の川原崎さんと古川さん

【確実に求められるハウツーを、確実に提供するという「nanapi」のやり方】

nanapiのサイトキャプチャー

まずは「nanapi」の代表取締役であるけんすうこと、古川健介さん。「nanapi」は、たくさんの「やり方」、つまり人生を通して必要なハウツーものが集まるプラットフォーム。ビジネスシーンにおけるマナーのあれこれ、はたまた無理なく貯金できるコツや、生活の中での掃除を手間なくカンタンに続ける方法まで、「いまさら聞けない」けれど「どうしても知りたい」ことが満載です。

古川健介さん

「ハウツーは、いざ探そうと思っても、ネット上に玉石混交で散らばっているために、それなりのクオリティーを持ったものと出会うことが困難です。そこで形式を全部統一し、一定のクオリティーを保った巨大なハウツーデータベースを生み出すことができたら、大きな価値になると考え、『nanapi』を立ち上げたのです」と古川さんは話します。

nanapiの考え方スライド

とはいえ、きわめて自然発生的である世に求められるハウツーのニーズをどのようにして集めているのでしょうか?

「自社制作記事は、『デマンド解析』をもとにニーズを抽出しています。これはつまり、サイトやWebで何が検索されているかの解析です。たとえばマンゴーの切り方が多数検索されていれば、それに対する記事を作成してリリースするというやり方ですね。記事の作成はクラウドソーシングで、インターネット上のアマチュアライターに記事執筆をお願いしています。さらに、CGM的にインターネットユーザーによる自由投稿、そしてハウツーを持っている企業から提供をしていただく企業提供があります」と古川さん。

1ユーザーあたりのニーズを把握してからコンテンツを作るというのが、プラットフォームとして斬新です。ユーザーのニーズを予見し、確実に見られるものを、確実な制作体制で生み出してゆくというメディアの在り方を提示しています。

「ニュース的な記事が一瞬で賞味期限を迎えることに対して、たとえば“きゅうりの切り方”の記事などは1年経っても恒常的に求められます。そのニーズ特性を見極めて出す体制を徹底しています。さらにまとめ系などのCGM的なコンテンツづくりはコストは安いが、記事のクオリティーや方向性をコントロールできない。そこで僕たちは、1ヶ月10,000記事出せるというようなコントロールを施し、確実に求められるものを、確実に提供することを可能にしています」

【ネットユーザーの期待にズバリ応えるサイゾーのオリジナリティ】

サイゾーの画面

次は「日刊サイゾー」「サイゾウーマン」などをつくったメディアプロデューサー、川原崎晋裕さんの登壇です。

マスコミが報道しない企業や芸能界のスキャンダルなど、社会で起きている”本当のこと”を鋭い切り口で紹介する同メディアは、いつもネット上で話題をかっさらっています。普段見せないサイゾーの、メディアとしての素顔をお話しいただきました。

川原崎晋裕さん

「『サイゾー』がメディアとしてやっていることは、何も特別なことではありません。テレビみたいに免許がなくてもいいし、設備投資も少額な、誰でも作れるネットメディアの形です。しかし、その中で、マスコミの発信している情報を疑ってみるという独自のジャーナリズムを持っているのが特徴です。そもそもネットが出てくる前はテレビや新聞が情報の全てを支配していた。そのせいで、彼らの手によって、意図的に世の中に流されない情報がいっぱいあったわけです。そこに光を当て、本当の情報を流していくことがサイゾーのジャーナリズムです」と川原崎さんは話します。

1999年に雑誌の「サイゾー」が創刊し、ネットメディアである「日刊サイゾー」が2007年に始まりました。サイゾーの記事は、情報の注目度とオリジナリティーが高く、インフォシークニュースやライブドアニュースなどの各ポータルサイトのランキングでは、日によってはその8割がサイゾーで埋め尽くされるというように、ニュースサイトでは最も読まれる記事の座を独占しています。

「マスコミが報道するのは当たり障りのない情報であって、水面下には多くの真実が眠っているわけです。そしてネットユーザーの求めているものは、そうした手付かずの真実です。そもそもネットには、玉石混交ではありますが、マスコミが報道しない情報が落ちていることが潜在的期待値としてある。サイゾーのコンテンツは、まさにそうしたネットユーザーの期待に沿うものだったわけです」と川原崎さん。

加えてネットはフラットな市場であり、ユーザーが欲しがる情報さえ出していればPVが上がる。そしてPVが集まればそこには自然とお金も集まります。ネットが潜在的に求める情報を、ネットの特性にマッチした形で出すということ。これこそがサイゾーが成功している要因です。

「とはいえ、課題としては、弊社のコンテンツはソーシャルとの相性が悪いということがあります。まず、情報そのものが“いいね!”しにくいものであったり(笑)、シェアすること自体が、個人のソーシャルグラフ上に強烈なメッセージ性を生み出したりしがちです。だからといって、今までのスタイルを変えようとは考えませんが、メディアとして僕らは世の中の求めるものに合わせて変化していきたいとも思っています」

続いてのトークセッションは、会場から集めた質問をベースに実に自由に議論が進み、ニーズを解析してから記事をつくる「nanapi」、独自の情報網や取材力により、世の中の求めるものを時流に乗ってつくりだしていく「日刊サイゾー」という、異なるコンセプトを持つ、2つの次世代型メディアからの様々な回答に、会場は大いに盛り上がりました。

会場の様子

Open CUでは今後も様々なメディアの第一線を知れるトークセッションを充実させてゆきます。ぜひ奮ってご参加ください!

 

◎イベント概要
次世代型ネットメディアを考える ~nanapiとサイゾーが語るメディアの今と未来
http://opencu.com/events/next-media

日時 :2012年10月25日(木) 19:00-21:00(18:30Open)
場所 :loftwork ID 10F(渋谷区・道玄坂)access map
参加費:1,000円(ワンドリンク付き)
出演 :古川健介(株式会社nanapi/代表取締役)
川原崎晋裕(株式会社サイゾー/メディア事業統括責任者)

▼イベントの様子

▼USTREAMアーカイブ

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