ソーシャルの向こう側へ! ハイパーインターネッツ石田光平氏、家入一真氏インタビュー

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01.Apr.2011

インタビュー・企画・構成
TOKYO SOURCE副編集長、フリーエディター 米田智彦

クリエイターが企画をプレゼンして小口で支援者(ユーザ)から支援金を集め、募集期間内にそれが実現されると、支援者 にはプロジェクトを立ち上げる報告だけではなく、特別なプロダクトや支援者のクレジット表記等で還元される――日本では馴染みの薄い、このネットを使った クリエイター支援の方法。海外ではかなり浸透を見せている。その成功例として昨年から話題を呼んでいるのが、1ドルからの小口の支援が可能な「Kickstarter」だ。創作活動費を集めにくいアイデアやプロジェクトであっても、ファンがクリエイターの「パトロン」になることで支援していくことができるWebプラットフォームである。

元々、「クラウドファンディング」や「ソーシャルレンディング」といったネットを使った投資サービスはあったが、Kickstarterは「クリエイター支援」に特化した点が特徴的である。過去には“Facebookを超える次世代SNS”と呼ばれる「Diaspora」が39日で6500人の出資者を集め、20万ドルを調達するという成功を収めている。その後も映画製作、プロダクトの開発・販売など、様々なジャンルの企画に対して多数の「パトロン」が生まれ、クリエイターの夢を実現している。

こうした海外での動きに影響され、今春、日本でもクリエイター支援に特化したサービスが立ち上がる。その中でも“マイクロ・パトロン・プラットフォーム” と銘打ち、最も注目を集めているのが株式会社ハイパーインターネッツが立ち上げる「CAMPFIRE」である。今回、我々は、同社代表の石 田光平氏と、共同代表を務めるパーティカンパニー代表の家入一真氏に直撃インタビュー。CAMPFIREの構想を聞くことができた。
(Webエキスパートより転載) 

 

米・Kickstarterに続け!日本のクリエイターをパトロンが支援

――まずは、石田さんと家入さんの出会いから教えていただけますか?

石田光平(以下、石田):僕は以前赤坂にあるインターネット企業に務めていた際、農業に注目してネットを通してお米を購入する事ができる「農力村」 というサイトを運営していました。10m×10mの1アール単位で田んぼのオーナーになることができ、収穫期にはその面積で収穫されたお米がオーナーに発 送されるというシステムです。個人的にずっとお米は白米だけでなくそこには育てる過程があり、それを表現できないか?という思いがあって始めたプロジェク トで、オーナーが農家を支援していくストーリーにフォーカスを当てたいと思いました。

――プロセスを公開してファンを巻き込みながら進めていくソーシャル型のプロジェクト、その農業版ということですね。

石田:はい。その農力村を、知り合いでもないのに家入さんが色んなところで、すごく褒めていただいたのを小耳に挟みました(笑)。

ハイパーインターネッツ石田光平さん


家入一真(以下、家入):
僕は「農力村」のことをすごく評価して いて、面白いサービスだなと思って、ネットや色々な媒体で勝手に宣伝してたんです(笑)。自分でも、田んぼのオーナーになって、みたんですが、どれくらい のお米ができるかはあまり理解してなくて、ある日突然、会社に100キロを超えるお米が届いてしまった(笑)。会社のスタッフみんなで分けて持って帰りま したね。その後、農力村のサービスを運営している会社を個人的に買収することになったんですが、そのサービスというより石田君自身に興味があったんです。

――なるほど。そういったアイデアを持ってる人なら共に面白いプロジェクトができると目をつけたわけですね! そこでハイパーインターネッツという会社を立ち上げ、CAMPFIREを一緒にやろうという話になったんですか?

石田:はい。やはり昨年、Kickstarterがアメリカでブレイクしたことがきっかけになりました。他にもソー シャルファンディングやソーシャルレンディング系のサイトはいくつかありましたが、クリエイターのパトロンになるという点が真新しく、魅力的でしたね。僕 も以前からクリエイターをファンと結び付けて、彼らを創作活動の経過から支援できる仕組みをやりたいという思いがありました。ハイパーインターネッツは、 僕と家入さんの共同経営でCAMPFIREを中心に運営していく会社として設立しました。

――では、Kickstarterの成功事例で特に注目したものは?

石田:やはり、最近最も成功した「iPodnanoを腕時計にできるガジェット」(※編注1)ですね。
それからFacebookがプライバシーの問題を取り上げられる中で、次世代のSNSを学生が作ろうと立ち上げた「Diaspora」は、プレゼンの動画 の中で、バンドマンみたいな個性豊かな学生たちがデモを作ったりしていて、サービス企画・制作のプロセスが公開されていくのが面白かったですね。

※編注1 米シカゴのデザインスタジオMINIMALのスコット・ウィルソンは、Appleの最新型 iPod nanoを、腕時計の筐体に収めるプロジェクトを企画。ローエンドモデル(35ドル)と、ハイエンド(70ドル)の2機種を製作し、設定額1万5千ドルと いう企画をKickstarterに掲出、見事達成した。支援総額は、それまで最高のDiasporaを抜く$94万1718ドル(約7800万円)。

――日本人では「映し鏡」を制作した川村真司(※編注2)さんが有名ですね。設定金額は5000ドルだったと聞きました。
※編注2 Kickstarterを使った日本人の取り組みとしては、複数のブラウザ画面を駆使して、 Twitterやフェイスブック、Webカメラを取り込んで話題となった3ピースバンド「SOUR」のPV「映し鏡」を製作したNY在住のクリエイティブ ディレクター・川村真司が支援を集めたことで知られる。

家入:確かに個人だと50万円とか100万円ぐらいの金額も集めるのは大変ですけど、それをネットを通してたくさんの人が出し合えば集められる額だと思うんです。

石田:それに、コアなファンがひとりでも大きいお金で出したりすると、一気に支援の流れに火がつくと思います。

家入:Kickstarterは支払いのシステムにAmazon Payments実装しているんですが、日本に対応していない。そこで、僕らがこのサービスをやる以上は、日本人を応援したいと思いました。そのために は、日本人が決済できる仕組みが必要でした。このサービスの特徴は、ファンが集まると同時にお金も集まることです。たとえば、地下アイドルみたいな人たち だって、ファンなら自分たちで育ててみたいと思うはずだし、クリエイターにだってそれは当てはまると思っています。創作活動費用を支援することでクリエイ ターを応援したり、クリエイターとコミュニケーションが取れることはファンにとっては大きな喜びですよね。

 

プロダクトや映画、旅、出版など多くのカテゴリーごとに企画を募集

――まだサービスがオープンされる前ですが、反響についてはいかがですか?

家入:Webサイトがまだティザーの状態にもかかわらず、若いクリエイターたちからすぐに反応がありました。一般の応 募に関しては、元美大生で夢を諦めてサラリーマンになってしまったけど、人生で何かまだやりたい、みたいな人が応募できるような夢のあるものにしたいと 思っていますが、やはり立ち上げに際してはクリエイターのプロジェクトの中身が大切になると思っています。アイデアをこちらからも出しながら一緒に練って いくような事もいいかもしれません……キュレーションみたいな感じですね。

石田:僕はやっぱり農力村をやってきましたし、社会貢献のプロジェクトにお金が集まるといいなと期待しています。

家入:えぇ~!?いきなり胡散くさいよ!(笑)。

家入一真さん

 

石田:いやいや、これは本音なんですよ(苦笑)、元々、僕がイ メージしたのがお祭りで見かける“提灯”なんですよ。お祭りって、必ず地元の人の名前が書いてある提灯が出ますよね。あれって応援する喜びだろうし、地元 に還元することや伝統を支えることだと思うし、そういうことをCAMPFIREで表現できるといいです。

――地域振興や農業にご関心の強い石田さんですが、東京のご出身ですね。

石田:はい。東京出身だからこそのコンプレックスというか、東京以外知らなくて、田舎に対して思い入れがあるのかもしれません。でも小さい虫は苦手です(笑)

家入:それはちょっと……俺は福岡出身だから経験あるけど、田舎はムカデとかすごいデカイし、天井からぼとっと落ちてきたりするし。

石田:え!それは僕は無理かも……。

家入:もっと山の中とかでサバイバルしたりした方がいいんじゃない?(笑)。

――ははは。でも、CAMPFIREにそういったサバイバル的な企画があっても面白いかもしれませんよね。

石田:そうなんです!(笑)。そういう電波少年的な企画も考えています。

家入:某有名建築家に犬小屋を作ってもらうようにお願いしてみるとか。断られたらダメだけど、意外と作ってくれる気もするし(笑)。

――つまり、CAMPFIREの応募にはいくつかのジャンルがあるんですね。

家入:はい。ジャンル別にカテゴリー分けされていて、そのカテゴリーごとに特徴のある企画を打ち出していこうと思っています。たとえば、旅というカテゴリーなら、50万円くらいの少額で面白いテーマの世界一周旅行をして、支援者に似合うお土産を各地で買って帰るとか……。

石田:さらに出版カテゴリーもあるので、その旅行記を出すといった展開が可能です。他にも映画、ダンス、スポーツ、ビ ジネス……いくつかのカテゴリーを用意して、クリエイションを壊さない程度に手助けというか、キュレーションできたらなと思っています。やっぱりクリエイ ターって、営業とかプロモーションって苦手で制作に没頭したい方が多いと思うので、そういった部分もCAMPFIREがサポートをしていければいいなと。

――では、同時期に立ち上がる他社のソーシャル・パトロン・サービスについてはどう思われていますか?

家入:まだまだ始まったばかりですし、敵視するわけではなく、一緒に市場を広げていければいいなと思っていますね。う ちは「マイクロ・パトロン・プラットフォーム」と銘打ってますが、「ソーシャル・パトロン・プラットフォーム」と言っているのが「Grow!」さんです ね。彼らは、いわゆるネットの“投げ銭システム”を導入しようとしています。先日、CAMPFIREとGrow!で「パトロンナイト」という立ち上げパー ティも合同で開催しましたし、お互い切磋琢磨して上がっていければいいですね。

 

 

個性豊かなチーム構成がCAMPFIREの大きな魅力の1つ

――それから、CAMPFIREの魅力の1つとして、スタッフ編成もあるのではないかと思っています。石田さんと家入さんのお二人もユニークなキャラクターですが、今時の人となっているAR三兄弟の川田十夢さんやヒニクデザインのトミモトリエさんもメンバーに名を連ねていますね。

家入一真(以下、家入):十夢君とは元々友達だったんですけど、仕事をする仲じゃなかったので、これを機に一緒にやれ ればいいなと思っています。彼はアイディアがすごいので、ブレーンになってもらいました。すでに数多くのアイデアを出してくれていますし、人も紹介してく れています。トミモトさんはうちがやっているシェアオフィス(東京・渋谷の「partyground」)にいるし、センスも素晴らしいので、デザインで手伝ってもらおうと声をかけました。

石田光平(以下、石田):例えば、坂田さんとはCAMPFIREを立ち上げてから仲良くさせていただいて、ブレーンで参加していただいています。元プロアイスホッケー選手でとても熱い方です。皆さん面白いクリエイターとたくさん知り合いで、いいネットワークになっていると思います。

――この面子で作るものだったら面白くならないはずがない!という気がします(笑)。そういったファンが寄せる期待感、何かやってくれそうだ!という雰囲気作りは、ソーシャル・パトロン・サービスにとっては非常に重要な部分となりそうですね。

クリエイターとの縁を仕事に昇華していく

――家入さんも元々は、ロリポップなどのサービスを展開する paperboy&co.を立ち上げたITクリエイターですよね。paperboy&co.の上場後は、パーティーカンパニーでカフェ店 舗を展開されていたり、シェアハウスを運営したり、経営者という印象が強かったのですが、CAMPFIREで久しぶりにITに戻ってきたという感覚はある のでしょうか?

家入:上場してからはパーティカンパニーを設立し、カフェやギャラリーなどの立ち上げ・運営をしました。これまでに経 験のない事も多く、大変でしたが、やってきて無駄ではなかった。それはIT以外のサブカル、アート系、芸能系、そういった人たちと交流が出来て、飲み友達 になれた。ITだけをやってたら決して知り合えなかっただろうなっていう人たちとつながりができました。

でも、飲み友達だけで終わるんじゃなくて、仕事を作れば、もっとその人たちとつながれる。その場を作りたかったんですね。ホント、世の中には変わった人がたくさんいますからね。

石田:僕も同じ感想を持っていて、面白い人と絡みたいんだけど、なかなか絡めない。そんな時は、「CAMPFIREっていうのがあるんだよ」って言えば、一緒に企画を立ち上げて仕事にすることもできると思うんですね。

 

企画成立後もサイト内で活動報告

――では、具体的な支援するシステムについて教えていただけますか?

石田:プロジェクトが1つあったとして、まずユーザはCAMPFIREに会員登録します。ユーザはある意味でファンで あり、そのファンはパトロンとして、500円位の少額からクリエイターを支援をすることが可能です。それで、僕らは「マイクロ・パトロン・プラットフォー ム」というコピーをつけているのですが、これは投資でも寄付でもなく。リターンはお金じゃなくて、モノやサービスで受けることができる。

たとえば、画家なら、CAMPPFIRE限定の絵と同じポストカードや、サイン入りTシャツなどがもらえるとか、映画ならエンドロールのクレジットに名前 が載ったり、タイトルの命名権、監督とのブレストやランチに参加できるなどのリターンがあり、それは支援額によって内容が決まります。決済については、ク レジットカードをメインで行います。

あと大切な点がもう1つあって、プロジェクト毎に目標額と募集期限を設定してもらい、募集期限内に目標額に達しない場合は、ユーザに支援額が戻ります。人 気のあるプロジェクトでも1円でも足りなければ不成立となります。その代わり、目標額を超えることはOKで、100%を超えて募集することもできます。

――では企画成立後もプロジェクトをウォッチしていくのでしょうか?

石田:クリエイターがCAMPFIREのサイト内でブログのような機能に活動報告を随時上げていくことができます。制 作状況をアップデートしていって、ファンがそれにコメントして、その意見をまたクリエイターが受け取ってという繰り返しを経て、1つの作品が生まれる過程 を公開していきます。

企業スポンサーをオフィシャルパトロンとして迎えることも視野に

――なるほど。では、支援の大勢の少額支援のファンだけではなく、企業など大口のスポンサーを開拓していく構想などはありますか?

石田:はい。クリエイティブに理解がある大手企業と、クリエイターをつなげていくことも仕掛けていきたいと思っていま す。たとえば、そういったスポンサーがついて、個展用にギャラリーを提供して、アーティストとファンをつなげたり。CAMPFIREはファンからお金を集 めるだけではなくて、クリエイターをひっぱり上げることもやっていこうと思っています。そのためには大型のパトロンもつけたいと思っている。「オフィシャ ルパトロン」として企業に入ってもらって、大きなバナーを出したりといったことができればと思っています。まだ構想段階なので、どのように仕組みを作るか は検討中です。

それから、CAMPFIREの次のステップでは、全てのジャンルにおけるクリエイターを、仕事とつなげていきたいと考えています。ここで 言うクリエイターとは、いわゆるアーティストやITの世界のこどだけではなく、ミュージシャンも映画監督もアスリートも飲食店経営者も編集者もクリエイ ターだと思っていて、その人たちと仕事をつなげていけるとクリエイティブの可能性は広がるんじゃないかと。

石田光平さん

 

インタビューからその全容が明らかになってきた「CAMPFIRE」。また、プロジェクト支援の仕組みなど、着々と整っているようだ。最終回となる次回は、立ち上げ後に描いている展望について、お二人から話を伺った。乞うご期待。

 

クリエイター同士のスキルをシェアする「MASHROOM」を構想

――CAMPFIREの立ち上げに際し、家入氏はKickstarterをモデルにした理由として「すでに成功例なので、多くの人にとって入り口として分かりやすいから」と語っていますが、その先に見据える独自のプロジェクトというのはありますか?

家入:CAMPFIREの次にすでに考えている構想があります。

石田:CAMPFIREでファンとクリエイターがつながって、今まで表舞台に上がってこなかった人たちがたくさん出て くると思います。でも、やっぱり仕事としてつなげる必要があると思っているんです。まだ仮なんですが、サービス名を「MASHROOM(仮)」と名づけて いて、マッシュアップの部屋という意味です。CAMPFIREはKickstarter の影響を受けていますが、これに関して僕らはオリジナルを狙っています。

今、クラウドソーシングというのがWebの世界ではトレンドの1つとしてあって、空いている時間でちょっとした仕事をするような、昔で言う在宅ワークを マッチングするプラットフォームです。それのクリエイターに特化したプラットフォームであり、クリエイター同士がその才能や技術を交換したり、コラボがで きる仕組みを考えています。

今ってクリエイション活動ってものすごく多様化していますよね。マンガが描ける人、戦場写真が撮れる人、ヨーヨーが世界一上手い人もいる。そんな人たち が、クリエイター間でコラボをやるんです。イメージとしては、まるでTwitterのRTみたく、デザインができる人、サービス開発ができる人、コーディ ングをする人、映像を撮る人……と、マッシュルームの中でお互いのスキルをシェアできるイメージです。

――昨年、TwitterやUSTREAMが盛り上がったのも、ネットの中だけじゃなくて、リアルに返ってきたからだと思うんです。だから、その流れを考えるとリアルが今年はもっと面白くなるだろうと予感しています。
たとえば、会社の中で空いたデスクっていっぱいありますよね。それを可視化してシェアできたりしたら面白いですね。

家入:そういう空いた場所や空間をつなげていくようなプラットフォームも作れたらいいですよね。企業単位で空いた会議室やデスクをネットワーク化して、MASHROOM(仮)に登録してもらい、空きスペースのアクティビティにつなげられるといい。

石田:やはり目指したいのは、Webを通してリアルにつながることですね。今って、Twitterで知り合った人と仕事することが増えていますよね。家入さんのバレンタイン企画もそうです(笑)。僕らはこういう現象を勝手に「ソーシャルの向こう側」って呼んでいます。

家入一真さん

達成額という結果ではなくクリエイターの夢にこそ価値がある

――しかし、あくまでも善意が前提のプロジェクトですし、普及するうちにいろんなノイズが走る可能性もありますよね。回避策は考えられていますか?

石田:まずは出来る限りクリエイターとはお会いして、信頼関係を築いた上でプロジェクトをアップしていきたいです。僕らはプラットフォームを提供したいという思いですが、一定の審査は入れていく予定です。
それにCAMPFIREは、クリエイターのプレゼンに対してお金を払うので、結果にコミットしてお金を払うという押し出し方だけではなく、つまり、アイデ アや夢にお金を払ってほしい。夢って、叶うか破れるかはチャレンジしてみないとわからないじゃないですか。でも、チャレンジするにもお金は必要で、その夢 にこそ価値があると僕は思うので。

家入:現状、プロジェクト成立時のCAMPFIREサイドの手数料は20%を想定していますが、うまく回す事で出来る限り手数料は下げていければと思います。結果を出したいですね。

――ところで、石田さんはなぜ社会貢献にこだわるのですか?

石田:いや、純粋に興味深いです。僕は経済学部出身なのですが、寄付や社会貢献って行動としてはモノやサービスといった対価もないのにお金払うのって、消費行動といっていいのか分かりませんが、興味深いですよね。

前に言ったお祭りの提灯という例は、自己顕示欲も含むと思うのですが、たくさん提灯を出す人の目立ちたいという気持ちや、他にも母校にも寄贈したりする額 によって石碑に彫られる名前の大きさが違ったりするって行動として面白いですよね。僕は農業系のWebサービスもやっているので、地域活性化にやエコ・グ リーン系の知人も多くいるのもその一因です。

家入:そういう面では、「kiva」 というマイクロファイナンシングのサイトがもう1つの目標としてありましたね。たとえば、アフリカのおばちゃんがミシンさえあれば縫い物をして生活が成り 立つ状態なんだけど、ミシンを買うお金がない。そういったストーリーにみんなが投資するんですが、要は人対人を通じた社会貢献に近いです。

 

向こうだと日本円にして2万円くらいのミシンはとてもじゃないけど高く買えない高価なものでも、欧米 や日本にいる僕らにしてはみんなで割り勘して出せる金額ですよね。まあkivaに注目したのは、そのおばちゃんから若い男の子といった人の顔写真がずらっ と並んでいて、単純に面白かったというのはあるんですけどね(笑)。

米田:それこそ本当の社会貢献じゃないですかね。ソーシャルアントレプレナーというか。サービスも技術もないのに社会起業なんて本当はできないと思うんですよ。

家入:そもそも企業を経営して雇用を生むこと自体が社会に貢献してるわけですし、社員も食わせられない、税金も払えないじゃ、そもそも社会に貢献なんてできない。そういった意味でもkivaは本当に社会起業だし、素敵だと思います。

石田:僕もkivaが大好きで、日本にもkivaJapanという団体もあり、ボランティア中心で活動しています。Webディレクターの求人があったんで、応募しようと思った事もあります。

――しかしながら、今年になって、会社を立ち上げ、春にサービス開始と忙しい1年になりそうですね。

石田:そうですね。僕は社会的にも意味のある事業だと思っているので、結果を出していきたいですね。

 

 

ソーシャル化した時代だからこそ人が重要になってきた

――数々のビジネスを成功させてきた家入さんにとっても、CAMPFIREは新たな冒険になるんじゃないですか?

家入:そうですね。最近はノンビリしていたので、そろそろ本腰を入れて何かやらないという気持ちがありました。飲食店 の経営をやって売上は伸びたんですけど、お店のコンセプトを考えたりディレクションをやったりしても、いざお店がオープンするとなると、自分が現場で手伝 えることが少くないと分かってしまった(苦笑)。僕、飲食店で働いたことないからホールもキッチンもできないんです。だから、やっぱり自分ができることは ITかなと思いました。ITはずっと現場でやってきたので。そんな時、石田君に再会して、一緒にCAMPFIREをやろうよってなった感じですかね。

 

――でも、農力村というサービスではなく、石田さんという人材が欲しかったと仰った家入さんって、目の付け所が面白いなあと感じましたよ。

家入:飲食をやってわかったことが1つあるんですが、お店というのは、結局「人対人」なんです。店長の力、スタッフの魅力に尽きる。日本はどこもそんなに不味いご飯を出さなくなった。最後は人、人間力だと思ったんです。飲食店って、人と人がゴリゴリとやっている。

――ITの方なのに、人間力に注目しているって言うのが家入さんらしいですね。

家入:飲食も人の時代になっている。内装がゴージャスだとかではもう店に行かない。料理のレベルがすごく上がっていて、ご飯が美味しくない店の方が少ない し、流行ってるからあのお店に行くっていう動機も少ない。何が基準かというと、友達がマスターやってるとか、働いている子の接客がいいとかで人に会いに行 くんです。

――分かります。若者が旅行に行かなくなったというけれど、人に会いに行くんだったら旅する理由になりますよね。

家入:そうそう。ITでつながったからこそ、もう一度人の時代になっていますよ。ある方が「何をやるかじゃなくて、誰とやるかが重要だ」と言っていたんですが、「やられたな」と思いましたね。僕も人に尽きると思っています。

石田:そういえば kivaが好きだって家入さんTwitterでつぶやいてましたよね。「kivaが好きな人に悪い人はいない」って思ってました。人対人が好きなんですねやっぱり。

家入: kivaはおばちゃんの写真を面白がってただけなんだけどね。

石田:・・・

家入:でも、同じ分野で面白いサイトありますよ。「金くれ」っ ていうサイト知ってます? 自分の名前、口座番号と、お金がなくて困っているかという状況を書いておくと、本当に振り込んでる人がいるんです(笑)。見つ けた時、「これとkivaを組み合わせたらいいじゃん!」って感じましたね。kivaに登場するのは本当に困っている人じゃないですか。でも、「金くれ」 はもしかしたら遊びたいだけのヤツかもしれなくて。でも、どっちも試みとしては面白い(笑)。

――確かに両方ともお金を扱ったユニークで画期的なサービスですよね(笑)。では、最後に石田さんのとてもいい話が聞けましたし(笑)、〆として、どんな人に企画を出してほしいか、お二人からメッセージをいただけますか?

家入:うまく言えないんですけど、何て言うのかな、僕は人の心の中に壷のようなモノがあって、それを突いたらドロっとしたものが出てくるのが見たいというか……。

――その人の根源的な欲求とか、人生と接続された逃げられない動機みたいな?

家入:そうそう!そういう感じ。ドロドロした人間臭い液というか(笑)。そういう人見つけるとワクワクしちゃいます(笑)。ぜひ応募してほしいです。

石田:僕は、パトロン側の人にも呼びかけていきたいですね。ゼロから1は作れないけど、1から100にするのは得意という人はいる。そういった方々も巻き込んで、成功例を作っていきたいですね。

――家入さん、石田さん、長い間、ありがとうございました。CAMPFIREのオープニングに期待しています!

インタビューの様子

インタビューの様子。左から米田、家入氏、石田氏

家入一真

1978年、福岡生まれ。party company Inc.会長、paperboy&co.創業者。2001年10月に株式会社paperboy&co.を創業。2008年12月に JASDAQ市場へ上場。party company Inc.ではカフェやレストランを展開。2011年、石田光平とともに株式会社ハイパーインターネッツ設立。
・WEBサイト:http://hiinc.jp
・個人ブログ:http://ameblo.jp/ieirikazuma
・Twitter:@hbkr
・Facebook:http://www.facebook.com/ieiri

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石田光平

株式会社ハイパーインターネッツ 代表取締役

東京都出身。農力村を立ち上げ後、“マイクロ・パトロン・プラットフォーム CAMPFIRE(キャンプファイヤー)”を立案・運営。2011年家入一真とともにインターネット大好き企業の株式会社ハイパーインターネッツを設立。代表取締役に就任。

・WEBサイト:http://hiinc.jp
・個人ブログ:http://myschwag.net
・Twitter:@kohex
・Facebook:http://www.facebook.com/koheiishida


クリエイターが新しく個人のプロジェクトを立ち上げる際に、複数のファン(ユーザー)から少額(500円や1000円など)で支援を受け、創作活動のためのまとまった費用を得られるプラットフォームです。

CAMPFIRE(キャンプファイヤー)

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米田智彦

編集者、コンテンツディレクター、ライター

編集者、コンテンツディレクター、ライター。1973年福岡生まれ。出版、広告、Webなどで企画・編集・執筆を行う。2005年より「東京発、未来を面白くする100人」をコンセプトにしたインタビューWebマガジン「TOKYO SOURCE」を立ち上げ、気鋭のクリエイターやアーティストなどへの取材を続けている。共著に『これからを面白くしそうな31人に会いに行った。』
2010年からはUSTREAM関連の書籍の企画をいち早く手がけ、『USTREAM 世界を変えるネット生中継』(編集。川井拓也著、ソフトバンククリエイティブ刊)、『USTREAMそらの的マニュアル』(企画・ディレクション。インフォレスト刊)を出版。近年はノマドワーカーとして個人の新しい働き方の可能性を追求し、取材や情報発信を行っており、今講座の開設も個人クリエイターを応援したいという思いから実現に至る。NOMAD TOKYO http://nomadtokyo.com

・ツイッター:@Tomohiko_Yoneda

・個人ブログ:http://blogs.brash.jp/tomohiko_yoneda/
・Facebook:http://www.facebook.com/tomoiko

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