7月12日開催レポート!東京♥石巻「まちと自分のつなぎかたをデザインする」 Powered by 石巻2.0

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17.Jul.2012

7月12日、渋谷・道玄坂にできた新しいイベントスペースloftwork IDにて、東日本大震災で大きな被害を受けた石巻の復興を支援するプロジェクト「石巻2.0」によるトークイベントが開催されました。石巻2.0は、石巻を震災前の状態に戻すのではなく、新しいまちへとバージョンアップさせるため奔走しています。

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前半は石巻2.0のメンバーがそれぞれの活動を報告、後半はロフトワーク代表でクリエイティブ・コモンズのアジア代表を務める林千晶を交え、オープンなまちづくりについてディスカッションをしました。
あいにくの雨天にもかかわらず会場は50名以上の参加者が来場、熱気に包まれてイベントがスタートしました。

最初に登壇したのは、石巻2.0を率いる松村豪太さん(一般社団法人ISHINOMAKI2.0代表理事)。
震災直後の石巻中心部を写真で紹介しながら、「何も無くなり、壊滅的な状態になりました。そのなかで、これまでとちがうより良い町を新しく作ろうと思いました」と説明します。

松村さんは、石巻でスポーツを通したまちづくり活動をしていましたが、勤務中に被災。自宅も半壊しました。

震災前の石巻はシャッター通りが増え、住民のコミュニケーションも活発でなかったといいます。新しいまちづくりを目指した松村さん。まず誰もが利用できるビジネスカフェ「IRORI石巻」を作りました。誰にでも開かれた、活動拠点となりました。
「復興活動を続けていくうちに、コミュニケーションが必然的に生まれて行きました」(松村さん)。

次に「復興民泊」を作りました。
石巻市中心部の多くの旅館は被災しました。復興活動などで石巻へ来たくても、宿泊する場所がないのが課題でした。一方、まちの中には空き部屋がたくさんありました。そこを活用しようと考えたのです。

次に「石巻工房」発起人で建築家の芦沢啓治さんが登壇。石巻工房はクリエイティブの力で石巻を変えていこうと作られた、公共的なものづくり拠点です。

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石巻工房で開発・制作したスツールは、ネットなどでは販売しています。

石巻工房が果たした役割として「(人が集まる)場をつくったのが大きい」と芦沢さん。まずベンチを作り、イベント会場やまち中に置きました。のちに販売も手がけました。

次に登壇した古山隆幸さんは、今年4月、「イトナブ」というプロジェクトを立ち上げ、ITを活用した雇用促進と若者らを対象とした職業訓練を進めています。
古山さんは「震災後、石巻が面白くなった。面白い人たちが集まってきている」と話します。

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石巻で生まれ育った古山さんは、実は「石巻がいやだ」と東京へ出て、Webデザイナーとして活動をしていたとのこと。

最後に登壇したのは、VOICE編集長を務める飯田昭雄さん。
「石巻のいいところを紹介してくれる本を作れないか」と石巻の人たちから相談されたことをきっかけに生まれたのが「VOICE」というフリーペーパーでした。「東北をおしゃれにしよう」と考えて作っているといいます。「地方から日本がおしゃれに生まれ変わっている。その最前線にいるのが石巻だと思っている」(飯田さん)。

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飯田さんは東京の広告代理店でアートディレクターとして働いていましたが、震災が起きて「自分が何かできることがないか」と石巻で活動を始めました。

多様な活動を展開する石巻2.0ですが、「石巻にいるメンバーは5人程度。コアメンバーは20人くらい。でも開かれているから、何らかの形でプロジェクトに関わっている人たちは100人くらいいる」(松村さん)とのことです。

ここで5分間の休憩をはさみ、後半は「まちと自分のつなぎかたをデザインする」と題したクロストークです。松村さん、芦沢さん、飯田さん、古山さんに加え、林が登壇しました。
モデレーターは、石巻2.0の西田司さん。横浜を拠点にする建築家であり、中心市街地の活性化手法の研究に取り組んでいます。

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時にはうなずいたり笑ったりしながら真剣に聞く参加者たち。石巻2.0のプロジェクトにかかわってきた方たちもいらっしゃいました。

クロストークでは石巻2.0が取り組んでいる石巻でのまちづくりを例として、まちのあり方についてのディスカッションがありました。

飯田さんは、石巻へ行くと「おかえりなさい」と迎えてもらえることから、「人と人の付き合いは本来こういうものと思い出した」と話します。人とのつながりがまちを作ります。

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建築を通じてまちづくりにもかかわる西田さんは、「まちは地域のものと思っていたが、今は関わっている人たちの集合でまちが形成されている」と感じているとのこと。

多くの人が知恵を出し合ってまちを作っていくというあり方は、被災地や一部の地域だけでなく、世界全体の最近の傾向でしょう。「1人のエキスパートではなく、クラウドのつながりが重要。これまではエキスパートが決めていたが、今ではたくさんいるみんなが重なり合って良いものが生まれる」(林)

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会場も巻き込んで活発な議論が繰り広げられました。

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7/21から8/1まで石巻中央商店まちを中心としたイベント「STAND UP WEEK2012」の告知も。

石巻2.0のような取り組みは、ほかの地方や都市とも繋がっていくことができそうです。
活発な議論の様子は、ぜひUSTアーカイブをご覧になってください!

●USTアーカイブ

●twitterまとめ
http://togetter.com/li/337662

●フォトアルバム(Flickr)

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