樽本徹也:ジョブ理論で製品カテゴリを「破壊」しよう!
~ クリステンセンの『ジョブ理論』とその実践
樽本徹也
MAR. 14 201819:30-21:30
loftwork COOOP 10(渋谷・道玄坂)
~ クリステンセンの『ジョブ理論』とその実践
樽本徹也
MAR. 14 201819:30-21:30
loftwork COOOP 10(渋谷・道玄坂)
クレイトン・クリステンセンが提唱した「イノベーション理論」は、企業の「盛者必衰の理」を鮮やかに描きました。しかし、この理論は滅亡を回避するための「新たな成長機会の見つけ方」については何も教えてくれませんでした。それを補完するのが『ジョブ理論(JTBD: Jobs To Be Done)』です。ジョブ理論では「人は何らかの『ジョブ』を 処理するために製品や サービスを『雇う』」と考えます。例えば、人は「穴を開ける」ために「ドリル」を、「A地点からB地点に移動する」ために「車」を、「思い出を残す」ために「カメラ」を雇う──のです。
『ジョブ理論 イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム』(ハーパーコリンズ・ ジャパン)
「ジョブ理論」で、最も有名なのは「ミルクシェイク」の逸話でしょう。売上を上げる秘訣は「粘度」を上げることでした。人々は「通勤の暇つぶし」のためにミルクシェイクを雇っていたので、粘度を上げた方が長持ちするからです。
もしかすると、「また新たなバズワーズが登場しただけではないのか?」と感じる人がいるかもしれません。
しかし、ジョブ理論には既存の製品カテゴリを「破壊」する力があります。ジョブのレンズを通して見るとマーガリンはオリーブ油と、ホテルは友人宅のリビングルームと、会計ソフトは鉛筆と「競合」するのです。一般にデザイン思考は「0 to 1」の製品開発を指向していますが、ジョブ理論は既存製品に「新たな成長機会(同時に脅威でもある)」を提供してくれます。
実はイノベーションの初期において、組織(特にスタートアップ)は「ジョブ指向」です。クリステンセンも本書の中で「成功しているスタートアップ企業の多くは、初めから四分の一インチの穴を売っている」と書いています。ところが、その後、様々なニーズを満たそうとして製品を肥大化、複雑化させてしまいます。そんな時にジョブは「イノベーションの北極星」となってくれます。「顧客は何を片付けたくて我々を雇ったんだ?」と問いかけることで、製品をシンプルに保つことができるからです。
ミルクシェイクから数えると、構築に20年かかったというジョブ理論。提唱者がクリステンセンであるということも相まって、今後、日本でも「ジョブ」はビジネスの共通言語になるかもしれませんね。当ワークショップでは、このジョブ理論のエッセンスをワークショップで理解します。エンジニア、デザイナ、プロダクトマネージャーなど幅広い業種で役立つ内容です。
▲昨年開催された「ジョブ理論」ワークショップの様子。今回は再演となります。
・エンジニア
・デザイナー
・プロダクトマネージャー
・新規事業企画
ユーザビリティ工学が専門で特にユーザ調査とユーザビリティ評価の実務経験が豊富。現在はプロのコンサルタントとして、組込みシステムからウェブアプリケーションまで幅広い製品のUI/UX開発に携わっている。寄稿や講演も多数。公式サイトは『人机交互論』
・認定人間中心設計専門家
・認定スクラムプロダクトオーナー(CSPO)
・NPO 人間中心設計推進機構 評議員
・アジャイルUCD研究会 共同代表
■主な著書
『アジャイル・ユーザビリティ ―ユーザエクスペリエンスのためのDIYテスティング―』(オーム社 2012年2月)
『ユーザビリティエンジニアリング―ユーザ調査とユーザビリティ評価実践テクニック』(オーム社 2005年10月)
『これだけは知っておきたい組込みシステムの設計手法 (組込みプレスSelection)』 (技術評論社 2009年10月 共著)
■Web連載
・ウェブ担当者フォーラム 「ゼロ円でもできる!? 省コストユーザビリティ向上術」
・EnterpriseZine 「アジャイルUXの潮流 ~ 米国発アジャイル開発の新しい波、只今日本に接近中!?」
株式会社ロフトワークが運営する学びをシェアするためのプラットフォームです。渋谷・道玄坂を中心に、毎月5〜6回のイベントを開催し、現在約7000人のメンバーが登録しています。扱うテーマは、主に「クリエイティブ」「デザイン」領域。クリエイターや有識者によるトークセッション「EVENT」、プロフェッショナルの知見を共有し、体験しながら学びを得る「WORKSHOP」、アイデアをシェアするWebコンテンツ「IDEAS」の3つのコンテンツを提供しています。https://www.opencu.com/
樽本徹也:ジョブ理論で製品カテゴリを「破壊」しよう!2018.03.14