こんにちは。ロフトワークディレクターの石部です。近頃、気温も下がり、すっかり食欲の秋ですね。サンマや栗もおいしいけれど、一緒に食べたらもっと幸せなもの…そう、モチモチの新米。一年のうちで一番ご飯がおいしい今だからこそ、いつも食べている「ご飯」を、もっともっとおいしく食べたい!…そんな「ご飯好き」の知的好奇心とお腹を満たすべく、始まったのがご飯の世界を探求できるワークショップ「メシタク」。「ご飯」という言葉に吸い寄せられるように参加した、大の米好きの私が、2013年10月18日に行われた初回の模様をレポートします!
全3回にわたり、おいしいお米の選び方からご飯の炊き方までを伝授してくれるのは、炊飯系フードユニット「ごはん同盟」として活動している、しらいのりこさんとシライジュンイチさん。「おかわりは世界を救う」という理念のもと、ご飯を食べるワークショップなどを開催されています。
ご飯の「炊き方」に注目する第1回目は、loftwork lab 10Fのキッチンで開催。真っ白なごはん色の衣装に身を包んだお二人を囲い、事前に仕込まれたご飯が炊けるほっこりした香りに包まれながらスタートしました。空腹がピークを迎えた夜7時、はたして「白いご飯」の魅力はどれだけ発揮されるのでしょうか!?
炊飯器でもまだおいしくなる!米の量り方、洗い方のコツ
夜7時。10数人のご飯を愛するメンバーが集い、「メシタク」は幕を開けました。冒頭ののりこさんからの質問「普段どんなふうにご飯を炊いていますか?」という質問に、ほとんど炊飯器でしかご飯を炊かないという人もいれば、「土鍋」「圧力鍋」「釜」など普段からご飯を炊く道具にこだわっている人もいる様子。それぞれが、さまざまなモチベーションで集まったようです。
「今回は、炊飯器がメインの人もすぐに活かせる、お米の量り方と洗い方からお話しします」と、のりこさん。
ええっ、炊く前から実践できるコツがあるんですか!?と、自分のなかでも既にテンションが上がっていきます。
のりこさんが冒頭で紹介したのがこのフレーズ
もともと、お米に含まれるでんぷんは消化しづらいもの。それを水と熱のちからを使って、糊状にして美味しく食べられるようにする(α化)のが炊飯。そんなシンプルな事象だけに、ご飯を美味しく炊くためには、うまい米選び、とぎ方、炊き方と、すべての結果成り立つ作業。その方法を本ワークショップで習っていくことこになります。
まずは、炊飯のスタートとなる「お米の量り方」「お米の洗い方」からレクチャー開始。以下にポイントをまとめてみます。
◎お米の量り方のポイント
・とにかく正確に量ること。計量カップなら、必ず上からすりきる。電子量りを使い、グラムで量るのもおすすめ
・新米は水分を多く含んでいるので、通常米の1.2倍の水を入れるところを1.0~1.1倍に調整
◎お米の洗い方
・米に水を注ぐのではなく、水を張ったところに米を入れる
・手のひらでゴシゴシ洗うのはNG!お米が割れてうまみが流れ出てしまいます
・米とぎは3分以内に終わらせる!それ以上経つと、吸水がはじまって、糠くさいご飯になってしまう
のりこさんが強調していたのは、「お米は水分とのバランスがとても大事」ということ。意外と傷つきやすいお米は、丁寧に扱わないと傷ついたところから水分を吸いすぎ、炊きあがりがやわらかくなりすぎてしまうそうだ。まるでなでるように米を洗う、のりこさん。その優しい手つきに「米とぎ」の心意気を見た気がします。
炊く前の1ステップ「吸水」のポイント
炊飯器の場合、スイッチを押せば即座にご飯が「炊かれ」始めると思いがちですが、実は炊き始める前に、水につけただけの状態で何分か放置する「吸水」というステップがあります。この「吸水」時間を確保するのとしないのでは、炊き立てなら差は出ないものの、冷めてきたときのご飯の味に違いが出るそう。普段、意識していないことだけにここはメモです。
◎吸水のコツ
・冷たい水で、ゆっくりと吸水させた方がおいしくなる
・おすすめは、炊く前に米を水につけた状態で冷蔵庫に2時間入れておくこと(最長、半日くらいまでOKとのこと)
吸水と炊飯に「なるべく温度差を付ける」ことが美味しいお米を炊くコツだそう。
最近の炊飯器の場合、(「早炊き」などの急ぎモードは例外として)吸水時間がプログラミングされている場合がほとんどなので、スイッチを押せば自動で行ってくれるそうです。
ガラス鍋で観察!米がご飯になる過程
いよいよ、ご飯を炊き始めます。 今回は、米が炊きあがっていく過程を観察できるよう、世にも珍しい「透明の鍋」を使用。参加者のアツい視線が鍋に注がれます。
火をつけて7分ほどすると、沸騰して粘りを持った泡がブクブクし始めます。火は弱い中火という感じで
ここからは「蒸す」段階。泡がなくなって来て、できた隙間から「パチパチ」と音が聞こえ始めます。ここでは耳を使って判断します。さらに7~10分ほどしたら一気に強火にして(2合で15〜30秒)、すぐ火を止め、「蒸らし」に入ります。
ガラス鍋はワークショップ用に準備したもので、しらいさんが普段愛用しているのは釜。こちらでもごはんを炊き始めます。
いよいよ実食!違いはわかるのか…?
5分程度蒸らし終わったら、フタをとってしゃもじでご飯を混ぜます。ここでも、ご飯をつぶさないよう、まず十字型に切り、1ブロックずつひっくり返すようにするのがポイント。混ぜたあとはご飯をササッとすくって「おひつ」に移し、蓋についた水滴を受けないように手ぬぐいをかけます。なお、おひつはお米を美味しくたべるための重要な道具ということ。ご飯のコンディションを整え、いい感じに保温までしてくれる昔からの知恵のつまったツールだそうです。ここでも目からうろこな私です。
おひつに入ったご飯を食べる機会はなかなか無いもの。わくわく感が最高潮になったところで、次はいよいよ実食です!
さて、ごはん同盟のお二人によって丁寧に炊かれたご飯のお味のほどは…?
「お、おいしい…!!!」
びっくりするくらいモチモチで、甘みもあり、ほんのりと感じるおひつの良い香り。白いご飯単体でも、どんどん箸が進みます。お釜で炊かれたご飯も食べ比べ、ご飯のおいしさを目いっぱい堪能しました。
しらいさん夫妻特製・肉厚な豚がおいしい豚汁と、石垣島出張帰りのディレクターのお土産の味噌も登場しご飯がますます進みます。
このように、ご飯を炊くという行為にさまざまなポイントがあります。炊飯の奥深さ、面白さを知って早速実践してみたくなった「メシタク」第1回でした。紙面では伝えきれなかったところも多いですが、実際に作業を目の当たりにして、シンプルなんだけど奥深いワークとなりました。
ごはん同盟さん、次回もよろしくお願いします!
第2回は、11月1日(金)夜7:00~開催です。2回目、3回目からのご参加も大歓迎です!席数に限りがございますので、お早めにOpenCuサイトよりご予約ください。お待ちしております。
❐プログラム
メシタク Vol.1 「炊飯-SUIHAN-」の巻(終了)
10/18(金)19:00~21:00@loftwork Lab 10F
炊飯は、加熱の順序と時間が大事。煮る~蒸す~焼くという複合加熱で、鍋の中のお米がどんな変化をしていくのか、透明のガラス鍋を使って炊飯の様子を観察します。また、計量、研ぎ、浸水、蒸らしなど炊飯にまつわるキーワードも解説。お米についてじっくり学びましょう。
メシタク Vol.2 「炊く道具-DOUGU-」の巻
11/1(金)19:00~21:00@loftwork Lab 10F
参加費:2,000円(ご飯・お味噌汁付き/1ドリンク付き)※会場現金/クレジット払い
定員:20名 ※応募多数の場合、抽選となります。
申込み方法:以下の「参加申込み」から応募ください。
鍋の種類によってお米の炊き上がりの特徴は様々です。今回は「羽釜」「土鍋」「ホーロー鍋」「炊飯器」、あわせて4種類の鍋を使って、同じ品種のお米を炊き比べ。自分の好みの炊飯道具が発見できるかも?! 知識と自身の舌でじっくり学びましょう!
メシタク Vol.3 「品種-HINSHU-」の巻
11/16(土)10:00~12:00@FabCafe
参加費:2,500円(ごはん・お味噌汁・おかず付き/ドリンクオーダー別途)※会場現金/クレジット払い
定員:30名
申込み方法:以下の「参加申込み」から応募ください。
品種改良が行われ種類が豊富なお米は、それぞれ違う個性を持っています。その特徴を知れば、自分好みのお米も見つけやすくなるはず。味わいの異なる3種類のお米を炊き比べ、その違いを発見します。最終回はFabCafeのサタデーモーニングとコラボしての開催です。ゲストも打診中。
ごはん同盟 (しらいのりこ/シライジュンイチ)
https://www.facebook.com/gohandoumei/
「ごはん同盟」は、ご飯好きの、ご飯好きによる、ご飯好きのための、炊飯系フードユニット。「おかわりは世界を救う」という理念のもと、日夜、ご飯をおいしくいただく方法を生み出し、その成果を多くのご飯好きのみなさんと共有するための活動を行います。合言葉は、もちろん「おかわり!」。美味しいごはんをいただくために、西へ東へと飛びまわります。