2014年3月28日、ロフトワーク烏丸オフィスにて「アブラナイト〜油で「食べる」がこんなに変わる!」を開催しました。岡山県の西粟倉村から2時間車を走らせてやってきた(!)、ablabo.の油姫こと大林さんをお迎えし、とことん油について学び・語り・食べ尽した模様をレポートします。
油の種類がこんなにあるって知ってました?~油姫のアブラトーク~
アブラトークの前に味覚を刺激
まずはアブラトークの前に、大林さんが持参した15種類の油の中から4種類の油をお客さんにテイスティングしていただきました。
油のテイスティング、ってなかなかというか、そもそも日常的にしないですよね。
直に油を食べる事に抵抗がある方もいると思いますが、食べてびっくり。
油たちは、それぞれによって全く味が違い、こんなにも油に味があるんだな、ということを実感させられます。
明日から使える、油の豆知識!
味覚を刺激したところで、大林さんから明日から使える、豆知識アブラトークのスタート。3つのポイントに分けて、紹介していただきました。
point1. 油の良いところ、悪いところ
私たちの普段生活で摂取する油は2種類あり、それが「見える油」と「見えない油」です。
「見える油」:ドレッシングや料理に使う油
「見えない油」:チョコレートや加工食品に含まれている油
これを「見える油」:「見えない油」=1:3で摂ることが適量、「見える油」の理想摂取量は「大さじ2杯」だそうです。
また、油は鮮度が命!…という事で、封を開けた瞬間から油は酸化が始まります。
どんな油も半年以内に使用してください、とのこと。皆さんの家の油はどうでしょうか?帰ったら、早速チェックしてみましょう!!
point2. 油には、顔がある
近年、スーパーで生産者の顔や名前が見える野菜が販売されることが多くなりましたが、同じように油にも生産者がいます。
「信頼できる生産者から買った油はいい油」と力強く語る大林さん。そんな大林さんの人生を変えた3つの油を紹介していただきました。
~小豆島:グリーンレモンオリーブオイル~
~岡山県津山市:菜種油~
~東京利島:椿油~
中でも印象的だったのが菜種油。
大林さんの家から車でさらに一時間いった津山市にある、94歳の神谷さんが現役で搾る菜種油です。
「戦争が終わったら、家族で一緒に天ぷらを食べたい」という思いがきっかけで、天ぷらを揚げるための菜種油を作り始めたという神谷さんに、大林さんは油づくりの弟子入りをしました。
そんな大林さんは、94歳になっても神谷さんが油をつくり続けるのは、自分が搾った良い油を摂取しているから体が酸化せずに老化しないのだと、信じています。
point3. 美味しい油の使い方
炒め物や揚げ物やドレッシングに使うイメージが強い油ですが、スープやサラダにハーブオイルやパンプキンシードオイルをかけたり、お菓子作りに落花生油やアボガドオイルを使っても美味しくできるそうです。
大林さんが個人的に作った落花生油を使ったマフィンは、美味しくて失神してしまう味だったそうです。
油のイメージとして「体に悪そう」「太りそう」、と思われがちですが、使う油によって体にとってプラスに働かせることもできるんです。特にニキビ・肌荒れ、冷え解消にも効くことから、会場内の、特に女性陣の目が輝いているように見えました。
つくりたての油はどんな味?~油搾り実演~
油の知識を吸収したところで、大林さんが持参した自家製搾油機(油搾り機)を使い、搾りたての油を食べてみることに。
姫の手ほどきを受けて
参加者と、ごまを搾ります…ごまは、油を多く含むので搾りやすいのです。じわじわ出てきた油はなんとも美味しそう!
会場内がごまの香りで包まれ、思わずよだれが…
搾りたての油をすぐに会場の皆さんでテイスティング。
大林さんのアブラトークですっかり油づけになった脳に加えて舌も刺激されます。
ablabo. cafeのメニューボードを考える!~個性豊かなアイデアソン~
アブラトーク後はアイデアソンのテーマをロフトワークから発表。
テーマは「ablabo. cafeのメニューボードを考える」。ablabo.cafeとは、油をより楽しんでもらい、好きになってもらえるような空想上のカフェです。
4つに分けたチームで協力し、看板メニュー・コース内容を考え、カフェの入口にあるようなボードメニューに落とし込みます。
「油は名脇役なので主役になれるような案や油が大好きになれるようなメニューがたくさん出てくると嬉しいです」と大林さん。
知識と味覚を刺激された参加者からどんなアイデアが出てくるのでしょうか?!
京都の人気カフェ”喫茶マドラグ”のマスターに聞く!
カフェメニューを考えるにあたり、喫茶マドラグの山崎さんをスペシャルゲストに迎えて、メニューを考えるためのコツを伝授していただけることに。
「いつも来てくれる人たちが飽きないようなメニュー」「食材を持て余さないこと(冷蔵庫の中身も、いただいたものも)」…など、人気店ならではの苦労話も織り交ぜながら、たくさんのヒントやアドバイスをいただきました。
4チームに分かれ、いざアイデアソン開始!
即席チームで一通り自己紹介が終わり打ち解けてからは、各チームごとに付箋を使ってアイデアだしを行っていきます。
大林さん、山崎さんにも各チームに入っていただき、「何を軸にするのか」「誰に対してのメニューなのか」を深堀しながら固めていきます。
チーム内でまとまったアイデアをメニューボードに起こす各チーム。中には、何やら小ネタを仕込みはじめたチームも。。。
どのチームも熱心で制限時間を過ぎても、会場はヒートアップしたまま。「時間ですよ〜」という司会者の声にしぶしぶペンを置く参加者の皆さんでした。
そしていよいよ、各チームのアイディアの発表です。
個性の光る各チームの発表
Aチーム:ablabo.Kyoto ~今宵、油で一杯やりませんか??~
「和風」「京都」「ベジ」というキーワードを元に、京都の野菜を丸ごと使い、お好みの油で食べることをコンセプトにしたメニューの提案。
京都と油のヘルシーさを組み合わせて、お客さんの油に対する固定概念を変えることが狙いです。
Bチーム:イケメン店員がおもてなし!?利き油が体験できるカフェ
このチームの発表は、メニューボードの枠にとらわれない寸劇スタイル!
カフェの接客をシチュエーション・パフォーマンス重視の楽しくなる見せ方にして、もっと油を楽しんでもらいたいという提案です。
Cチーム:3種の油の食べ比べセット
油農家をされている方がチームメンバーに入ったCチーム、油農家が考える、油をたくさん使ってもらえるメニューの提案。
油と食材をたくさん用意し、誰でも絶対に油の違いを感じてもらえるような登竜門とも言えるべきカフェメニューでした。
Dチーム:みんながノリノリになれちゃう!体験型ablabo.cafe
チーム内の多種多様なアイデアをフルコースで上手く落とし込む提案を行ったDチーム。
幅広いレパートリーの提案に、思わず「お腹がすいた…」という声も。
山崎さん「僕の店でもやってみたい」「そのアイデアいただきました」
大林さん「皆さんがこんなに油について考えてくれてとても嬉しいです!」
と、ゲスト二人からも絶えず笑みがこぼれます。
どのチームの発表も素晴らしいものでしたが、油姫の心を射抜いたablabo.賞はBチーム!「やはりイケメンというキーワードに妄想が止まりません!」と笑みを見せる大林さんでした。
最後のお楽しみ、アブラナイト試食会!
アイデアソン後は、ロフトワーク烏丸の森内から試食会メニューの案内。
定番の生野菜・茹で野菜から、パン、インスタントスープ、西粟倉のご飯の上にチリ油と生姜を炒めた「食べる油」をふりかけて食べたり、油一滴で見違える美味しさのヨーグルトやアイスのいったデザートをご用意させていただきました。
懇親会は、油を楽しみながら、ワークショップを通して絆を深めた皆さんから絶えず笑いがこぼれて、お腹も満足な素敵な試食会になりました。
イベント後、大林さんからは
“こんなマニアックなイベントに来て下さる方がいるのだろうか・・・と若干不安はあったものの、当日はたくさんの方にお会いできて本当に素敵な時間を過ごすことが出来ました。
あれから油を見る目に少しでも変化が生まれていれば、これほど嬉しいことはありません!”
…という素敵なメッセージもいただきました!
大林さん、山崎さん、参加者の皆さん、ありがとうございました!
その他の写真(Flickr): https://www.flickr.com/photos/opencu/sets/72157643194496635/