取材・構成
株式会社ロフトワーク今、ソーシャルネットワーキングなどを代表するITの世界から仕事の方法論が変革されてきている。須田英之氏はヤマハでIT関係の部署にいるサラリーマン。肩書きでは研究開発センター ネットビジネスグループ主任をつとめる。しかし、ある時は“体験を贈る”を合言葉に、ハングライダーやリフレクソロジー、さらにはスタジオ撮影までの体験を販売するサービスを展開するソウエクスペリエンス株式会社に関わり、またある時は、農業実験レストラン・六本木農園にも関わっている。またまたある時は、バンド『夕食ホット』のメンバーとしてギターでノリノリのライブをこなす傍ら、ステージの傍らに居るときにはカメラを構え、ミュージシャンのオフィシャルカメラマンすらもこなしてしまう。
この人一体、何者なんだ!?
自らの芸を職に、そして職から生き方を創る。その生き方が人を繋ぎ、笑顔を生み出してゆく。彼の人生に大きく関わる音楽とITから、そして須田英之さんの活動をご紹介してみよう。
狩人と肉の名刺で、大人の課外活動をする男
須田氏の持ち味は、その多彩なキャリアだ。現在、ヤマハの社員であると同時にミュージシャンでありカメラマン、そして六本木農園やソウエクスペリエンス株式会社など、数社の活動に関わっている。
「ヤマハ以外は基本的には全て、プライベートで無給の“課外活動”です。その証拠に、僕の名刺を見てみてください」と須田氏は取材中に名刺を差し出した。

須田氏の名刺
ソウエクスペリエンス株式会社・食経験“狩人”に、六本木農園・社外取締“肉”と書かれている。取締役などの役職に須田氏は就かない。だから“課外活動”なのだ
「活動に対して言えるのは、全部自分から押しつけたわけでもなく、お願いされたわけでもなく、酒の席や何気ない会話の中の人間関係から始まっていったということです。だから会社としての契約関係は無いけれど、信頼関係は結んでいる。その証がこの名刺なんです。名刺を作るってそれなりのリスクを背負うことですからね。お金としての報酬は受け取らない代わりに、この名刺を使って僕は主体的に話をして、そこから生まれた出会いや笑顔を報酬として受け取っている。そんな全く新しいビジネスのための名刺なんです」と須田氏。
お金とは違う交換方法で、自分の人生の糧となる報酬を得てゆくこと。これは須田氏の仕事術・人脈術の基本だ。例えば、須田氏はカメラマンとしても活動している。これもヤマハ入社1年目の仕事で、『パソカラホーダイ』の広告撮影をしたカメラマンと意気投合し、「カメラ買えよ」と言われてカメラを買い、なんと弟子入りしたのが始まりだった。
自らもミュージシャンであることから、ライブの写真を撮り始めたら、それがきっかけでアーティストのオフィシャルカメラマンになるチャンスをつかんだ。このように、ライフワークや出会いを生かし、新しい自分の仕事にしてゆくことが須田流のキャリアビルディングなのである。
