ボケれるかボケれないか、それが最重要課題です
BHBのサイトを開いてみると、富士山をバックに“身の丈ほどもある体験を背負った主婦”の絵が色鮮やかに出迎えてくれる。サイトトップでは「両手を振り上げ、口から火を吐きながら、のっしのっしと歩く」と不思議なコピーが目を引く。まったく、意味が分からない…。
代表挨拶には“設立から120年を数える老舗の会社”を謳い、代表取締役であるシモダ氏の写真は“つくね”に自分の顔を合成したもの。単刀直入に言ってしまおう。こんなデタラメなサイトで果たして仕事が成り立つのだろうか? その真意にあえてマジメに迫ってみた。
「僕らは、ボケることでご飯を食べさせてもらっている会社です。なので、とにかくボケれる仕事を振ってください…というメッセージをサイト上で発信しています。社名も同じような理由でつけました。“デザインをお願いしたい”ではなく、“何か面白いことをやってほしい”という興味からご相談いただくことが多いです。そのほうが弊社がやりたいこととクライアントの望むイメージとのズレが少なくていいんですよ」
それにしても…
う~ん、やり過ぎではないだろうか!?
「会社を作るということになって、企業理念やスローガンなどを作らないといけません。そこでいろんな企業サイトを参考に見ていたんですが、なんとなくみんな同じような感じだったんです。だったらいっそ、ぜんぶひっくり返したら面白くなるんじゃないかなと思いました」とシモダ氏。
一般的な企業サイトは所在地や社員数、株式などの情報がズラリと羅列されているだけで、ユーザーはひと通り確認したらそそくさと他のページに移動してしまう。一方、BHBのサイトは夢中で読めて、笑えて、リツイートしたくなり、しかも自分たちがどんなことが好きなのかがビンビン伝わる会社概要だ。
ちなみに、風通しがよく、セキュリティも万全。アイディアが大切な仕事ゆえの「想像環境」づくりにも心をくだく、爆笑必至のBHBのオフィス紹介記事はこちらのページをどうぞ。
じわじわとBHBのココロが伝わってきたところで、前編はおしまい。後編ではそのクリエイティビティの裏側に迫ってみた。楽しみに待っていてほしい。(後編へ続く)

シモダテツヤ氏とロフトワーク・ディレクター太田聡