こんにちは、ロフトワークプロデューサーの小川治人です。1回目のワークでは、普段聞けない他社のドキュメント制作の考え方やつまづくポイントなどを、参加者の視点でディスカッションを行いました。第2回として「「Instant Deliverable Mix」を体感する」をテーマに開催されました具体的には、仮想の提案依頼に対して、『Instant Deliverable Mix』を利用し、企画骨子から、提案書のアウトプットイメージまでを作成するワークショップを実施しました。2012年11月30日にLoftworkLabにて開催された、Webサイト提案ドキュメントを構築するワークショップのレポートです。
提案書にはいくつか方向性がある
競合分析や調査が重要な場合や、シナリオから提案する場合などアプローチの手法は様々です。坂本さんの具体的なサンプル、事例をもとに提案書の構成要素のパターンやペルソナ作成やUXジャーニーマップなどの手法についていくつか解説いただきました。
- 競合分析や現状分析が重要なパターン
- シナリオからはじめるパターン
- サイト構成、課題と施策まとめが重要なパターン
- クロスチャネルが重要なパターン
- 事例調査パターン
競合分析パターン
例えば、経営層の方へ提案する場合は、サイト構造から入るのではなく、ペルソナや体験シナリオから入り、最終的にwebがどう使われるのかイメージできるよう提案するとわかりやすい。また、営業の方、もしくは上長へ再度提案/報告しなければならない場合は、それだけではなく、細かいところまで説明するなど、状況によっても異なってきます。
そのはなしの中でも特に印象的だったのは以下です。
「UXジャーニーマップはコンテンツありきで作ると失敗する」
ユーザーシナリオから考えることでより効果的なものができるとのことでした。
現在、実際の案件でUXジャーニーマップを作成しているところなのですが、コンテンツや機能ありきで話が進む場合があります。そうすると「そのコンテンツや機能を使う利用シーン」を表すことになり、ユーザー行動が後付けになってしまいます。そうならないためには、UXジャーニーマップを作成する前にユーザーシナリオを整理しておくと効果的に進めることができます。
実際に提案を考えてみるワーク
さて今日の本題。
坂本さん「今日はドキュメントのパターンを使って提案書を構成してみましょう。」
ワークをスタートする前に制作答例として、坂本さんが作成した提案書を『Instant Deliverable Mix』当てはめながら、ドキュメント作成の背景や各ページの位置づけと伝えるべき価値の解説をしてもらいました。
アシスタントのロフトワーク太田からワークショッププログラムの流れの説明。
まずは、参加者の普段の業務を考慮してバランス良くチーム分け。
課題は、化粧品大手クライアントから男性向け香水のプロモーションサイトコンペ参加依頼があったと仮定してすすみました。
ワークのとっかかりとして最初は提案のコンセプトを考える。
チームで提案を考える上で重要な作業です。実際に参加した男性のなかで香水を使っていたのは1名だけ。プロモーションコンセプトの決め方もチームごとそれぞれでした。
シールを貼って出てきたアイディアの重みづけをするチーム
ターゲットを絞り、そこから広がりながらアイディアを出すチーム
提案を考えてみるワーク〜Instant Deliverable Mix を使う〜
続いては、でてきたコンセプトに沿ってロジックを考え、提案骨子の項目に合わせて
『Instant Deliverable Mix』からフォーマットを抽出していく作業。
でてきた提案骨子を、9枚の企画書にして発表しました。
『Instant Deliverable Mix』とは、、、、EightShapes社が公開しているドキュメントのページパターンを定義したものです。(ダウンロード)
ページパターンが多いため、どのロジックにどのページパターンが当てはまるのかみなさん苦労していた模様。しかしそこは現役のディレクターデザイナーの方達。用意されていた『Instant Deliverable Mix』のドキュメントテンプレート集(130ページを超えて3cmほどの紙の束)から最適なページをハサミで切り出しピックアップしていました。
ページパターンが絞り込まれていった段階から一気に収束に向けて加速。絞り込みにあたって共通のコンセプトがベースにあるとことも、チームビルディングの重要なポイントだと感じました。
各チームの発表内容もさることながら、その企画を説明するために、どのようなストーリーをたて、どのようなドキュメントパターンを使用するのかといったところにチームの特色がでていました。
ここでは、同じ様な商品を売る場合でも、それぞれ別のドキュメントパターンを利用している。アプローチは一通りではない。『Instant Deliverable Mix』を使うことによって、気軽に提案要素の構成を組み替えながらまとめられるメリットがあると感じました。
ワークをはじめる前には、課題から推測すると同じような結果になるのではないか、と懸念していましたが、結果は2つのグループで違ったアプローチになりました。グループAでは、よりWebサイトの中身や使われ方がわかるアプローチ、グループBでは、コンセプトが重視されよりターゲットにフォーカスする内容でした。一方、2チームともに共通しているのは、ターゲットおよびシナリオがあり、流入フローを示している点です。
ドキュメントパターンを1つの共通言語にして、さまざまな立場の方が会話をして進めていくワークは予想以上に興味深いと感じました。今回は提案をするワークでしたが、提案に必要な目次やそれにひもづく資料の体裁(見た目)がある程度共通化できていると、より中身の内容に議論が集中できることもわかりました。
今後さまざまなシーンでこうしたドキュメントを介したコミュニケーションをする機会があると思いますが、ドキュメントの種類や体裁について効率化できるところはどんどん効率化していければいいと思います。