モチベーションと評価の相乗効果を引き出す体制構築
キヤノンマーケティングジャパンでも、管理職への昇進は、年々難しくなっているのが実情のようだ。ところが増井氏の率いるウェブマネジメントセンターは、なんとチーム発足以来5人も課長を輩出し、別の部門や海外のグループ会社でも活躍しているというのだ。こうした個人力の伸ばし方のポイントとは何なのだろうか?
「顔の見える評価体制の構築が大切ですね。たとえば業績を上げたら社内報で想いを語ってもらう機会を作ったり、サイトでの評価に関しても、本部会議で部下の仕事の成果を発表したりといった、常に個人の顔が見える評価体制を重視しています。結果的に、本部内の月間MVPの取得率も高く、会社全体のアワード(特別賞)も獲得しています。部下の仕事を社内で紹介するのは私の仕事の中で最も重要なものですね」

社内報での成果をアピール(内部報告の資料より抜粋)

高受賞率を誇る月間MVPの一例(社内報告の資料より抜粋)
この評価体制は、前述のトップビジョンから個人の仕事へのブレイクダウンに対し、その流れが逆に働くようになる。こうして会社の持つビジョンに対して貢献し、会社に評価されたとチームメンバー各人が実感することで、個人の立ち位置確認がより強化され、モチベーションもより高められる。
工夫その8 ボジションに対する自覚があればあるほど、評価されたときに達成感が強化される
こうした的確なモチベーション向上と評価体制構築を行なってきたことで、結果として、ウェブマネジメントセンターそのものの地位も向上させてきたことにも注目したい。
「BCP(緊急時企業存続計画)をやりはじめたときに、会社のトップが“BCPで絶対に止めてはいけないシステムがあるとしたら、それは企業のWebサイトだ”と言ってくれました。これは、Webサイトが会社の最重要事業の1つとして認められたことを意味しました。私にも大きな自信になりましたし、チームにとっても良い意味での誇りになり、モチベーション向上になりましたね」と、増井氏は実感を語る。