
ウェブデザインの教科書(2001/09 日経BP社) 矢野さんがWebデザインについて執筆した記念すべき初の著書。当時はWebデザインという考え方が浸透し始めた時期で、 現在に比べこのような知識をまとめた本も珍しい時代であった。
彼女のワークスタイルは出来上がった。実践者としてWebデザインをし、理論を体系化し、さらにそれを発信するというサイクルだ。そのスタイルはAndroidアプリ『6x6cm(ロクロク)』のデザイナーとして活動する今も変わらない。
「6x6cm,Inc.はアプリを作ってユーザーを集めることで本当に商売になるのかの、いわば、実験なんです。『6x6cm(ロクロク)』はアルバム付きのカメラアプリです。今はスマホのカメラ機能では、写真を撮る行為自体は変わりませんが、ソーシャルメディアとどこまでもシームレスに連動していて、その全てがオンライン上に保存されます。そうすると、自分の思い出を懐かしむ、昔のアルバムを開くような行為が失われているなと思ったんです。そこで、撮ったものを自分でしっかり楽しめる機能と、ソーシャルメディアへの投稿機能を両立させたAndroidアプリを作ったんです」と矢野さん。
スマホで撮られる写真の在り方へのメッセージに溢れている『6x6cm(ロクロク)』は、写真の加工にも優れ、個性的な写真を求めるコアなファンも獲得している。ただのマーケティングではなく、理論に裏付けたれたモノのクオリティ、そしてその哲学に対してユーザーは共鳴するのだ。
引き続き、後編では“今後のWebの在り方“働き方の変化”などについて話を伺うことができた。乞うご期待。