Project Design ―ロフトワークの新たな取り組み―
次は、ロフトワークのクリエイティブDiv.でチーフディレクターを務める滝澤 耕平さん。ロフトワークでは、Web制作に限らず、幅広いジャンルのコンテンツ制作を行う中で、2003年という早い段階からPMBOKに則ったプロジェクトマネジメントの考え方やツールを導入してきたそうです。
「しかし、導入直後から劇的に効果が現れたわけではなく、2006年になってやっと劇的にトラブルプロジェクトや赤字プロジェクトが大幅に減少した」(滝澤)と話は始まりました。
Project ManagementからProject Designへ
滝澤「プロジェクトマネジメントを取り入れるようになって、トラブルになることは減ってきましたが、“少し変則的な対応が難しい制作スキームになっているのでもう少し要望に応じてオーダーを変更できる柔軟さが欲しい” “全体的に受け身な印象。企画及び進行管理面で、もう少しイニシアチブをとっていただきたい”といったコメントをお客さんからいただくことがありました。
当然、途中でこうしたいなということが出てくるはずなのに、“管理”という言葉自体がどうしても“おらおら系”の方へ意識が向いてしまいがちです。計画からそれることを恐れる体質になってしまっていたわけです。そこで最近ロフトワークでは、管理という言葉に引っ張られすぎないよう、“Project Design”という言葉を意識して使うようなりました」
せっかくやるならプロジェクトをもっと楽しく! 滝澤さんはProject Designで行っている具体的な手法を2つ紹介しました。
<ワークショップ形式でお客さんからヒアリング>
プロジェクトの主要メンバー以外にも、お客さんの社内でメンバーを集めて、これから作ろうとするものの背景について、ワークショップ形式でヒアリングを行う。
<Project Compass>
ターゲットの認識をすりあわせるために、Project Compassという1枚のシートを使って、コスト・リソース・人・スケジュールなどを埋めていく。ゴールは始めから見えていないのだから、地図は描けないものとしてあきらめ、どちらに進むべきかというコンパスを持とうという考え。いつでも振り返ることができ、みんなで埋めていく上で、認識の擦り合わせができるようになっている。
滝澤「みどりかわさんがおっしゃっていたように、言葉って本当に大事ですね。どんな言葉を使うかによって、プロジェクトの雰囲気が変わる瞬間ってあると思います。Project Designという1つのテクニックを使って、そういう瞬間を意識的に生み出していきたいですね」