実践者であり続ける。 Webアナリスト清水誠氏インタビュー

shimizu_pjoto

13.Apr.2010

取材・構成

株式会社ロフトワーク
 

ウェブエキスパートではWeb業界で注目を浴びる人にフォーカスしたインタビューを連載。今回は、日本最大級のショッピングサイト、 楽天のアクセス解析部門の立ち上げと全社導入・推進を終え、ギルト・グループで現在、CRMを担当しているWeb実践者、清水誠氏をご紹介する。Webマーケティングの側面からアクセス解析が注目を浴びる現在、ネット黎明期から冷静に業界を見据えてきたその視点、キャリアを詳説。さらに、アクセス解析から自身のキャリアにまで活用できる「コンセプトダイアグラム 」の話題など、常に実践者として情報を提供し続ける清水氏の真髄に迫りたい。

インタビュー:山口謙之介(株式会社ロフトワーク/loftwork.jpウェブマスター)

 

 

コンセプトダイアグラムという 情報整理の共通言語をつくる試み

日本アムウェイでのCMS導入や楽天全サイトへのアクセス解析導入と社内展開、そして様々な講演やワークショップを重ねる、発信型の清水誠氏。同氏がウェブのアクセス解析や広くはすべての情報の整理に多用するのが「コンセプトダイアグラム」だ。サイトの目的・ユーザー・機能・コンテンツをマッピングし図解するこの手法を、これからのWebにおける情報整理の共通言語にしたいと考えているのだという。

「こうした整理の仕方を、情報アーキテクチャ(IA)という言い方で括ってしまうと、専門技術、さらに技術者という意味合いが強くなってしまいます。しかし、手法・方法論として体系化できれば、自分が実践者にならなくても世界中のあちこちでそれが機能するのではないか、と思ったのです」と清水氏。

このような専門技術の枠を越えた試みは、楽天という超巨大マーケットでのアクセス解析による最適化のプロジェクトでも用いられたのだという。

清水氏のブログ「実践CMS*IA」から、地ビールのコンセプトモデルを掲載。

上の図は地ビールECサイト「サンクトガーレン」のコンセプトダイアグラムだ。地ビールというものを”飲む”=消費に至るまで、ユーザーがどのような行動をとるか、また、どんな消費の方法があるのかが整理されている。

ユーザーの動きを追ってみよう。テレビなどのメディアで地ビールの存在を知り、”飲んでみたい”と思った場合、まずどんな商品があるのかをWebで”いろいろ選ぶ”。地ビールは流通チャネルと量が限られるため、今どこで何を飲めるのか、を調べる必要がある。そのために重要なのが、入手・飲むための”方法を調べ”ることだ。

その後に“買って/行って”、”飲む”という動きをとる。さらに”もっと”、”飲みたい”と思い、季節のビールなどを”いろいろ選んで”、”飲む”リピーターになってはじめて、事業が安定するのだ。チョコレートビールや季節のフルーツビールなど、話題性の高い限定ビールをフックとして提供しつつ、定番のビールもリピートしてほしい…と考えるわけだ。

「”酵母が生きた新鮮な地ビールは、ビールの中でも嗜好品として嗜まれる” ”そのため、ビンよりも樽が美味しい、サーバーで入れると泡が違う”など、消費のされ方も複合的でそれに応じたコンテンツがサイト上で供給される必要もありますね。これが整理できて初めてプロジェクトの目的が整理され、サイトの設計ができるようになります。そして、有益な情報が消費者に伝わり、広くはインターネット上の情報が充実するという具合ですね」上記のようなシンプルな流れも図示化することで、言葉の理解を促進することになる。コンセプトダイアグラムに対する想いを清水氏はこう語る。「図解するということは具体化するということです。とにかく描いてゆけば、自分が“分かっていない”ことに気づくことができるわけです。そこで、理想と現実とのギャップにも敏感になれます。さらにプロジェクトメンバーで共有すれば、この作用にバリエーションが生まれ、ディスカッションも可能になるんです。コンセプトダイアグラムいずれは技術者やマーケター、製作者、ディレクターの共通言語になればと思い、いろんな場所で広めています」

 

清水誠

Webアナリスト/実践者

1995年国際基督教大学卒。1995~2004年まで凸版印刷・Scient・RazorfishにてWebプロデュース・IA・UI設計の開拓とコンサルティングに従事した後、事業会社側へ転身。ビジネス・テクノロジー・デザインの融合によるイノベーションを実現すべく、日系ベンチャーの情報システム部門で開発フレームワーク導入とプロセス改善を、外資消費財企業のマーケティングコミュニケーション部門ではIT(CMS、PDFワークフロー)を活用した改善を、楽天ではアクセス解析の全社導入と推進をリードした。2011年よりファッションECサイトGILTのCRMを担当中。寄稿記事は「アクセス解析実践日誌」(MarkeZine)「ステップ式! CMSはじめの一歩」(Web担当者Forum)「実践的インフォメーションアーキテクト論」(MdN)「楽天経済圏を支えるアクセス解析の全貌」(ITmedia)など多数。

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山口謙之介

大学卒業後、教材の営業を担当。2004年12月ロフトワークに入社し、クリエイティブ・ディレクターとしてCMSを用いたサイトの構築から、新技術を用いたWeb関連アプリケーションの開発のディレクションなど幅広いプロジェクトを担当。2007年10月よりマーケティングを担当し、現在は loftwork.jp全般の管理を行う。

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