実践者であり続ける。 Webアナリスト清水誠氏インタビュー

shimizu_pjoto

13.Apr.2010

すぐれたバランス感覚がもたらした“モノをつくれるマネージャー”

 

清水氏のキャリアの中で、楽天に在籍しアクセス解析を行っていたことが印象的である。自身のスキルであるアクセス解析が、経営そのものに関わっていくほどの影響があったことは注目したい。そのような“ビジネスドリブンを可能にする”アクセス解析のキルを、いかにして身につけたのだろうか?

「変化し続けるネット業界では、基本的に“抽象的なこと”と“具体的なこと”の間をバランスよく移動していないといけないのです。つまり、常に理論を実践し、実践から理論をみつけ、それでさらに実践してみる、というサイクルを作るわけです。そうすることで、全体の精度が高くなっていくんです」と清水氏。

一般にネット業界においては、プログラマやエンジニアと経営陣の間にある溝は非常に大きいと言われる。経営者サイドが現場のことが全く分かっていないことから、制作を行うレイヤーにまで最適なディレクションが行えない、というのは頻発する問題のひとつだ。この問題を解消しない限り、全体の精度の向上を得られないかもしれない。

「ネットの話だけに留まらず、私はバランス感覚としてそれらを捉えています。例えば、学生時代は文学系にいながら、社会に出てからは完全にシステム系という、文系と理系をウロウロしながら勉強したり、大企業に行ったりベンチャー行ったりするという、相反するものをバランスよく自分に取り込むことをしてきました。それに重ねるように、現場でも学んだ知識を実践しつつ、理論的なマネジメントも行ったんです。その結果、エンジニアリング、マーケティング、コーディング、IAもやるという、今の自分があると思うんです。難しいように見えますが、”組”に分かれないことで相乗効果を出してきた結果だと思います」

“理論を作る”マネージャーでもあり、実際に手を動かす実践者でもある。両方ができるからこそ、偏りの無い分析ができるというもの。彼のバランス感覚と機知に富んだコンセプトダイアグラムはこうしたパーソナリティに裏付けられているのだ。

清水誠

電通アイソバー CAO (Chief Analytics Officer)

データとビジュアライズで企業や組織を顧客視点に変えるChange Agent。常識に囚われない発想力と実行力で新分野を開拓し、組織を内側から大胆かつ着実に変えていくのが得意。 日本でUXやIA、CMS、Web解析の分野を開拓した後、渡米。米AdobeにてAnalytics製品(旧SiteCatalyst)の企画・開発・啓蒙に携わる。2014年に帰国し独立。現電通アイソバー CAO (Chief Analytics Officer)。公式サイト

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山口謙之介

大学卒業後、教材の営業を担当。2004年12月ロフトワークに入社し、クリエイティブ・ディレクターとしてCMSを用いたサイトの構築から、新技術を用いたWeb関連アプリケーションの開発のディレクションなど幅広いプロジェクトを担当。2007年10月よりマーケティングを担当し、現在は loftwork.jp全般の管理を行う。

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