実践者であり続ける。 Webアナリスト清水誠氏インタビュー

shimizu_pjoto

13.Apr.2010

 

転職で使える、人生のコンセプトダイアグラム

 

彼のキャリアビジョン、会社での仕事を自らのキャリアに広げてゆくその手法は、転職を伴わざるをえない。今までの16年のウェブビジネスのキャリアにおいて、転職の回数は7回。平均3年未満で、転職を繰り返している。もちろん彼は、就職していた会社に有益なものを常に提供し、その結果として他へ移る、ということしていきているので、転職は手段であり、目的ではない。しかし時にそのキャリア観は、企業に誤解を与えることも少なくない。ここでは彼が転職の時に使うプレゼン資料から、彼の人生のダイヤグラムを探ってみよう。

「日本では転職回数が多いと、飽きやすい、無責任、協調性がない、とネガティブに捉えられてしまうことがあります。また、職務経歴書が長くなればなるほど、ポイントが伝わりにくくなります。伝えたいポイントを効率良く的確に伝えるためには、面接官の視線を職務経歴書から離し、トピックの選択と順番、時間配分、キーメッセージを自分でコントロールできる、つまり自分の土俵で勝負できるようにするためのプレゼン資料が必要だ、と考え作成しました」と清水氏。

彼のプレゼンテーション資料(zipファイル/1.34MB)にはいくつかの異なった分析がある。たとえばこのグラフでは、勤務先の規模と種類の広さを、尺度と面積の表現で、分かりやすく図にしている(図1)。

 

図1 清水氏のキャリアパスを図示化したもの

 

“いろいろ経験しましたが、自分には、大企業の底力、ベンチャーの開拓精神、意思決定できる国内発の企業が向いているとわかりました”と言える。これにより、長く務めた経験と、柔軟性を同時にアピールすることができる。また、逆に“発注側と受注側の両方を経験しているので、顧客の立場に立ったコンサルティングが可能です”ということもできる。“限界を感じて一時的に発注側の組織の中に身を置いていましたが、そろそろ知見が溜まったのでコンサルティングに戻ろうと思っています”ともいえる。データはデータでしかなく、どう料理するかによって意味はまったく異なる。分析やレポート作成でも同じだそうだ。

続いて、組織における自分のポジションの変遷(図2)についても、それを自分のキャリアの指向性と合わせて図示。

「単に組織を上層へ登ってきたことを示すだけだと図解の意味が無いので、B2B(受託の制作/コンサルティング)からB2C(事業会社、サービス提供側)への遷移を正当化するための右斜めの軸を設定してあります。どの職種においても、ユーザー中心主義は変わらないのです」と清水氏。

 

図2 組織における自分のポジションの変遷

 

こうした資料を、面接相手の職種・職位からセレクトして挑んでいるという。

「資料を作るだけでも、自分の過去を整理し、ビジョンを再構成できるのでオススメですね」と清水氏。転職はキャリアの節目、終点と始点。まさに人生のコンセプトダイアグラムを作成する好機なのだ。

清水誠

電通アイソバー CAO (Chief Analytics Officer)

データとビジュアライズで企業や組織を顧客視点に変えるChange Agent。常識に囚われない発想力と実行力で新分野を開拓し、組織を内側から大胆かつ着実に変えていくのが得意。 日本でUXやIA、CMS、Web解析の分野を開拓した後、渡米。米AdobeにてAnalytics製品(旧SiteCatalyst)の企画・開発・啓蒙に携わる。2014年に帰国し独立。現電通アイソバー CAO (Chief Analytics Officer)。公式サイト

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山口謙之介

大学卒業後、教材の営業を担当。2004年12月ロフトワークに入社し、クリエイティブ・ディレクターとしてCMSを用いたサイトの構築から、新技術を用いたWeb関連アプリケーションの開発のディレクションなど幅広いプロジェクトを担当。2007年10月よりマーケティングを担当し、現在は loftwork.jp全般の管理を行う。

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