スキルアップのためにはとにかく量をこなせ!!で辿りついたピクルス起業
独学でFLASHを学び、いきなりフリーランスになったタナカさん。31歳の頃である。
「フリーランスになったとはいえ、“やばい、このまま路頭に迷うかもしれない!“という気持ちのままでしたからね」
と当時を振り返る。とにかく今まで学んだ知識を総動員して、目の前の仕事をこなしていったという。
「とある広告に使うミニゲームを作ってほしいという案件を受けたんですよ。もうケツに火がついている状態ですから、やったことないけどできそうな気がして、引き受けたんですよ。結果としては、“いいよ、これ”って評価されて、これが大きな自信になりましたね。それで、何となくプログラムは分かったつもりでいたけど、今考えてみるとかなり無理矢理作った感じで(笑)、すごく無謀でしたね」
ミニゲームでポイントを競って、景品の車を当てるという、選択型アドベンチャーゲームとミニゲームでできた広告タイアップの案件だった。この案件では報酬にも恵まれたそうだが、その後は制作単価の安いコンペ案件を引き受けることが多く、悪戦苦闘することもあった。
「デザインを週3本くらい出す、なんて信じられないスケジュールが当たり前になっていましたね。ただ、最初はそんなに振られてもなかなか、さばけないもの。1案作るのにもすごい時間がかかっていました…そのような状況で“技術向上しないとヤバイ”ってなったんですね。でも技術は一朝一夕に身につかない。時間がすごくかかるもの。なので、最初に取り組んだのはテレビを捨てることでした。あとはソファーをパソコン机の前に持って行って、ベットで寝ないようにもしました。要は起きている全ての時間を仕事に費やせば、技術向上の時間が作れると思ったんです。それと安いコンペ件も前以上に積極的に受けるようにしました。練習量を増やして技術向上って感じです。お金もらえて練習ができるなんてなんてラッキーなんだ!って思ってやってましたね」
またその中で試行錯誤をしてる内に、彼なりの技術向上のコツをつかんだ。
「デザインについては特になんですけど、未熟な内は他の人のデザインを真似することが大事だと思ってます。模倣の中に技術練習があるんですよ。先ずは真似をして色々な道具を自分に身につけないといけないと思います。オリジナル感を出すのは技術が身についた後でも十分間に合います。
そういった感じで色々な道具を身についていけば、オリジナル感みたいなものが自然に出せていけると思ってます。最初からオリジナルを目指してやってしまうと非常に時間を無駄にしてしまいます。だって技術がそもそも無い状態だから、悩んでばっかいて無為に時間を使ってしまう。なので、真似することを恐れてはだめですね。それと、重ねてになっちゃいますが、とにかく量をこなすことが重要です!」
これは今でもタナカさんの中に息づく哲学だ。質は量によって生まれ、量をこなさない限りその進歩はないのである。
なんとか仕事をこなしていく中で、大手との取引も生まれてきた。そんな折、”タナカさんだけが個人事業主で、取引きがしづらいので、法人化してください”と言われたのがきっかけで、法人化に踏み切ったという。
「当時1円で会社を作れる規制緩和が出てきた頃で、50万円くらいの資本金で有限会社を立ち上げたんです。とはいっても、結局一人会社ですから何が変わるってわけじゃなかったんですが」
当時はまだ、広告がメインというよりは、サイトのデザインから完成までを請け負うWebサイト制作会社。その後、プロジェクトごとに人を入れたりしているうちに本格的な会社に成長していくことになる。
次回は、クリエイターのセルフ・ブランディング、これからアツいWebのターゲット層についてのお話です。