UXデザイン・UIデザインをベースにソーシャルとの連携も提案
坂本氏のネットイヤーでの仕事は、時間経過と共に少し変化した。最初は、いわゆるWebサイトの設計であった。
「まず、サイトストラクチャがないと話にならないのでそれを作りましょうと。それから情報の分かりやすさとか探しやすさを前提にした情報設計をすることが多くなってきたわけです。実際に何をやっているかというと、ほとんどVisioやPowerPointでサイトストラクチャやUXフロー、ワイヤーフレームを描く作業ですね。もともと絵を描くことが好きだったこともあり、現在でも“絵を描いてなんぼ”という仕事スタイルですね。
今では、 “Webサイト”と“何か”の設計といったらいいかな…例えば“キャンペーンサイトで集客、モバイルでキャンペーンサイトにアクセスしたユーザーが会員登録して、ECサイトに飛んで、買い物”というストーリーを考え、それを落とし込んだサイトや関係する動線を設計するわけです。それを絵にして伝えることが多いですね(下図)。このようなユーザーの動線を設計するのがUXデザインで、その流れの断面である個々のサイトの設計をするのがUIデザイン。この2つが現在の仕事と言ってもいいと思います」

坂本氏に普段の仕事で制作する手書きのワイヤーフレーム(左)、UXのフローチャート(左)などを見せてもらった。 これらの手書きのメモを元に、VisioやPowerPointにてクライアントに向けた資料を作成していくとのこと
最近では、Webサイト制作ディレクターの枠を超え、マーケティングの手伝いをするコンサルタントと言ってよい立場で仕事を進めているそうだ。また、新しいメディアを利用したマーケティングの提案もしているのだという。
「昨年、TwitterやFacebookが日本でも浸透してかなり話題になりましたよね。特にFacebookはマーケティング視点で考えやすいんです。“Facebookを見て、コーポレートサイトに来て、ECサイトで買い物する”という流れもできてくると思います。ただ、話題にはなっていますが、翻訳した概論や統計情報、海外での事例が紹介される程度で、まだどう活用すればいいのか?というところまで議論されていないですね。なので、企業がFacebookを扱うならどういう点に注意するべきかについて具体的にいろいろ考えています。例えば、Facebookページを作るには商品単位にするか企業アカウント単位にするか、どういう情報を紐づける必要があるのか、そのために、どんな関係者と連携をとるか。僕はFacebookで何かうまい商売をして儲けようと思っているわけではなくて、マーケティング戦略全体で利用するピースの1つだと考えています」
坂本氏は、セミナーでも同じようなことを紹介している。
「スマートフォンがこれだけ増えているわけだから、それに適したサイトを作らなければいけないですね。当然、PCとも携帯電話とも違ったWebサイトになるべきなんですが、現在、PC版サイトの担当者はそれを管理するので精一杯の状況、あと、従来の携帯サイトを作っている人たちにはこれまでのPC版サイトの知識や歴史も知る必要があると思います。新しいメディアが登場したら、それに対応するための人材育成とか体制強化とか、企業でも中長期の戦略が必要だと思いますね」