「自ら切り開く」を原動力にして UXデザイナー坂本貴史氏インタビュー

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13.Feb.2011

UXデザイン・UIデザインをベースにソーシャルとの連携も提案

坂本氏のネットイヤーでの仕事は、時間経過と共に少し変化した。最初は、いわゆるWebサイトの設計であった。
「まず、サイトストラクチャがないと話にならないのでそれを作りましょうと。それから情報の分かりやすさとか探しやすさを前提にした情報設計をすることが多くなってきたわけです。実際に何をやっているかというと、ほとんどVisioやPowerPointでサイトストラクチャやUXフロー、ワイヤーフレームを描く作業ですね。もともと絵を描くことが好きだったこともあり、現在でも“絵を描いてなんぼ”という仕事スタイルですね。

今では、 “Webサイト”と“何か”の設計といったらいいかな…例えば“キャンペーンサイトで集客、モバイルでキャンペーンサイトにアクセスしたユーザーが会員登録して、ECサイトに飛んで、買い物”というストーリーを考え、それを落とし込んだサイトや関係する動線を設計するわけです。それを絵にして伝えることが多いですね(下図)。このようなユーザーの動線を設計するのがUXデザインで、その流れの断面である個々のサイトの設計をするのがUIデザイン。この2つが現在の仕事と言ってもいいと思います」

 

坂本氏に普段の仕事で制作する手書きのワイヤーフレーム(左)、UXのフローチャート(左)などを見せてもらった。 これらの手書きのメモを元に、VisioやPowerPointにてクライアントに向けた資料を作成していくとのこと

 

坂本氏のIAに関するセミナーから、ロフトワークで開催されたものを紹介。IAに必要な知識を系統立てて説明。 ワイヤーフレーム、メンタルモデル、情報構造とフローなどの側面からポイントを解説している

 

最近では、Webサイト制作ディレクターの枠を超え、マーケティングの手伝いをするコンサルタントと言ってよい立場で仕事を進めているそうだ。また、新しいメディアを利用したマーケティングの提案もしているのだという。

「昨年、TwitterやFacebookが日本でも浸透してかなり話題になりましたよね。特にFacebookはマーケティング視点で考えやすいんです。“Facebookを見て、コーポレートサイトに来て、ECサイトで買い物する”という流れもできてくると思います。ただ、話題にはなっていますが、翻訳した概論や統計情報、海外での事例が紹介される程度で、まだどう活用すればいいのか?というところまで議論されていないですね。なので、企業がFacebookを扱うならどういう点に注意するべきかについて具体的にいろいろ考えています。例えば、Facebookページを作るには商品単位にするか企業アカウント単位にするか、どういう情報を紐づける必要があるのか、そのために、どんな関係者と連携をとるか。僕はFacebookで何かうまい商売をして儲けようと思っているわけではなくて、マーケティング戦略全体で利用するピースの1つだと考えています

坂本氏は、セミナーでも同じようなことを紹介している。
「スマートフォンがこれだけ増えているわけだから、それに適したサイトを作らなければいけないですね。当然、PCとも携帯電話とも違ったWebサイトになるべきなんですが、現在、PC版サイトの担当者はそれを管理するので精一杯の状況、あと、従来の携帯サイトを作っている人たちにはこれまでのPC版サイトの知識や歴史も知る必要があると思います。新しいメディアが登場したら、それに対応するための人材育成とか体制強化とか、企業でも中長期の戦略が必要だと思いますね」

坂本貴史

ネットイヤーグループ株式会社
UXディレクター

2002年よりネットイヤーグループ株式会社に参加。主に、国内外の企業におけるイタラクティブマーケティング支援(コンサルティング)やWebサイト構築におけるクリエイティブディレクションを担当。とくに、Web情報アーキテクチャを設計する専門職インフォメーションアーキテクトとしても活動し、執筆・寄稿やセミナー講師なども行っている。

所属団体
Information Architecture Institute (IAI)
NPO法人 人間中心設計推進機構 (HCD-Net)

ネットイヤーグループ株式会社
個人ブログ「bookslope

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水野太

株式会社ロフトワーク
クリエイティブ・ディレクター

中央大学理工学部を卒業後、大手防災機器メーカーに入社し、品質管理/UI設計業務に6年間従事。その後渡米し、独学で身につけたWeb関連技術・デザインを本格的に学び、国内外の複数企業に勤務。2009年にロフトワーク入社後は、IA、コーディング、Flash等の幅広い技術と、豊富な経験を生かし活躍中。

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