起業の理由と「ツルカメ」という社名に込めた想い
「ずっとこの仕事をやっていきたい」と話すほど、森田氏はWebの仕事に情熱を傾けている。bAを離れ新たに起業した理由はこうだ。
「加齢について考えた、というのが主な動機なんです。自分は歳をとっても、たぶんずっとWebに関わっているんだろうな、関われていたらいいなって思うんですね。ただ、この先50年くらいbAにいるとして、同じフロアに80歳の人がいてWeb制作やっているのを想像すると、若い社員から見たらただの厄介者で“イタい人”なんだろうなっていうのも考えいて。体力も落ちて頭の回転だって悪くなると思うし、働き盛りの人たちとずっと同じポジションには居続けられませんよね。でも、自分の会社だったら自分のペースで仕事ができるだろうから、たとえば100歳になっても好きなようにWebサイトを作っていられるかなと考えたんです」
ちなみに、森田氏の目指す今後のWebサイト作りも、起業理由と同様に、“加齢”がキーワードとなっているだという。
「好きなサイトや毎日使っているサービスが、加齢とともに使いづらくなっていったらきっと嫌だろうなと思うんです。びゅんびゅん動くサイトは現在でも、自分の親世代には扱いづらいと思うけど、僕もそのうちそうなるんじゃないかという不安もあります。これから社会のインフラがもっとネットに移行していき、その入り口であるサイトがますます重要になった時、加齢のために不便を感じるようになってしまっていたら、それって社会から隔離されちゃったのも同然じゃないかっていう。デバイスはもっと便利になっていくでしょうけど、それだって使えるかわからない。”加齢によりネットが不便になる状況”を恐れているんですよ」
高齢化でそれまで使えていたWebサービスが使えなくなるのが恐ろしいと話す森田氏であるが、その想いから、いつまでもWebを不便なく使える社会のために、新しい会社のコンセプトは「あらゆるデバイドを解決する」と設定した
(編注1)。
デザインやIAの品質とともに、ユーザビリティやアクセシビリティも追い求める。それこそがツルカメの方針なのだ。千里の道も一歩から。ほんの少しずつでも障壁をなくしていく、それが地道に積み重なっていくことが、ツルカメの考えるあらゆるデバイドの解決なのだという。
「ツルカメは長寿の象徴。作った人よりも長生きする、千年万年使われるWebのプロダクトやサービスを作りたい。そんな想いから、会社はツルカメと命名しました。ロゴのツルとカメが陰陽図みたいでかわいいでしょ(笑)」
まさに会社の名前やロゴに森田氏の想いがぎゅっとつまっているのだ。