いま現実は、ここまで拡張できる AR三兄弟インタビュー

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26.May.2011

“だれも知らない”ものを作るには、“だれも知らない”ことを知ること

 

ARを使ってユニコーンやいきものがかりといった著名なミュージシャンとコラボレーションしたり、歌手の小林幸子さんをARの世界に持ち込むなど、どれも世界初であり、ARの可能性を次から次へと発掘していっているAR三兄弟。 そのイマジネーションの源泉はどこにあるのか? 主にアイデアマンの役割を担う川田さんはこう答える。 「僕は人が知らないことばかり調べているんです。例えば最近では、単位に詳しい人になろうと思って単位辞典をずっと読んでいたんです。おかげで全てが単位に見えてくるようになったほどでした(笑)。だから、マイクロシーベルトとか出てきたときにも全く焦らなかったですね」 一見どうでもよさそうな知識ながら、ここからARに発想を移行させるのが、彼らの真骨頂だ。 「単位って、実はバカにできないくらい文化を支えているんです。例えば、エジプトの“キュビット”という単位。これは、その国の王様が手を広げた大きさが1キュビットなんですよ。「1」あたりが長い単位なので、エジプトではピラミッドのようなダイナミックなものが生まれたのかもしれない。 一方で、中国のとある村では“爪”という単位があって、爪ひとつ分が単位になるのです。するとここの村では手工業での編み物や作り物などの細かい文化が生まれている。僕の推論ではありますけど、単位の生まれ方、使われ方でその文化が変わってくるのです。そして、センチを測るための物差しとか、単位には道具としての“測り”の存在がある。この道具の役割をARに持ってきて、例えば測定器のメーカーさんと、何かを測って遊ぶようなリアル人生ゲームとか作れたら面白いと思いますね」
特定の業界では非常に有名だが、一般社会では全く認知されていない“ベクレル”などの単位はさまざま存在する。“だれも知らない=未知”のものをいかに面白く見せるかが、エンターテイナーの腕の見せどころだとすれば、この知識のつけ方というのは非常に理にかなっている。 「そして、アイデアを何らかの形で実現しようとするとき、自分が面白いと思っているものを面白がっている人が実際どれくらいいるのか、さらにそれを表現に変えたひとはいるのかというのはすごく調べます。それで、例えばGoogle検索で上がって来ないものを僕は古本屋などに深堀りしに行ったりしますね」 AR三兄弟の表現に、お決まりの予定調和や何かの複製が一切無いのは、こうした発想の仕方によるのだろう。 次回は、今後の活動やARの未来について聞いていく予定だ。乞うご期待!

AR三兄弟の長男・川田十夢さんと、次男の高木伸二さんが

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